ケンブリッジ英語検定ってどんな試験
英語の民間試験導入に向けた動きの中で、様々な英語民間試験が導入されようとしていますが、その中でケンブリッジ英語検定というあまり聞いたことが無い検定試験を目にしたことがあるかと思います。
このケンブリッジ英語検定とはいったいどういった試験なのか気になりませんか?実は海外では非常に知名度のある英語検定試験なのです。そんなケンブリッジ英語検定試験について概要から留学に至るまで解説していきます。
ケンブリッジ英語検定の概要
ケンブリッジ英語検定とは、1858年にイギリスの名門大学であるケンブリッジ大学が創設した英語の検定試験です。日本では英検やTOEFL、TOEICのように知名度はありませんがヨーロッパでは多くの機関で認められていて約130カ国でケンブリッジ英語検定が利用されています。
日本では、河合塾がイギリスのケンブリッジ大学英語検定機構と共に日本ケンブリッジ英語検定機構(Cambridge Assessment Japan Foundation)を2018年に設立しました。前述のようにヨーロッパでは広く認められた英語試験であるため、その検定としてのクオリティを日本にも広めより身近にケンブリッジ英語検定を受験しやすくしていく目的があります。
これまではケンブリッジ検定となる日本でなかなか受験できる機会が無く、普及しているイギリスへ留学時の最後に受験するといった感覚の検定でした。ですが、昨今の民間英語試験の導入の動きに合わせて、日本でも普及のための機構が設立されたりと、日本でも受験できるようになってきました。
特にヨーロッパの英語圏で留学やビザの取得を考えている方は、ぜひ取っておきたい英語検定でもあります。さらに世界中の企業などで英語力の証明として認定されている試験でもあるため、グローバルで就職を考えている人にもおすすめの英語検定です。
最近では大学入試を控えている学生も多くケンブリッジ英語検定を受けています。2020年、大学入学共通テストが始まります。当初2020年から大学入学共通テストの英語の試験は、4技能であるリーディング、ヒアリング、スピーキング、ライティングが必須となっていました(2020年度はひとまずリーディングとリスニングで実施)。これら4技能テストを含んでいるケンブリッジ英語検定は、大学入試英語成績提供システムの参加要件を満たす英語民間試験として認められました(※英語民間試験導入については2019年に一旦延期の決定がされています)。
レベル分けについて
ケンブリッジ英語検定では、ネイティブ並みの高いレベルを目指したい方から初心者の方でも受験できるように5つのレベルにわかれています。
Proficiency (CPE)
ネイティブ並みに英語を理解できる人向けのレベルとなります。海外留学もしくは海外勤務をする際に不自由なくコミュニケーションをとることができるレベルです。
CEFR C2レベル・IELTS8.0以上・TOEIC990点レベルに相当します。
【試験の構成】
- リスニング(約40分)
- スピーキング(16分)
- リーディング&文法・語彙(1時間30分)
- ライティング(1時間30分)
Advanced(CAE)
レベルの高い海外大学や大学院に留学を目指している場合に取得したいレベルです。
CEFR C1レベル・IELTS7.0以上・TOEIC870点レベルに相当します。
【試験の構成】
- リスニング(約40分)
- スピーキング(15分)
- リーディング&文法・語彙(1時間30分)
- ライティング(1時間30分)
First(FCE)
仕事上である程度の英会話が必要な方や、難関大学を目指す方、もしくは留学をお考えの方が目指したいレベルです。
CEFR B2レベル・IELTS5.5以上・TOEIC760点レベルに相当します。
【試験の構成】
- リスニング(約40分)
- スピーキング(14分)
- リーディング&文法・語彙(1時間15分)
- ライティング(1時間20分)
Preliminary (PET)
高校生である程度英語を勉強している人向けのレベルとなります。日常生活での英語力があることの証明にもなり、大学入試に近いレベルです。
CEFR B1レベル・IELTS4.0以上・TOEIC630点レベルに相当します。
【試験の構成】
- リスニング(約30分)
- スピーキング(約10~12分)
- リーディング&ライティング(1時間30分)
Key(KET)
ケンブリッジ英語検定の中でも初級に該当し、日常生活に必要な英語を理解できる程度の方が対象となります。中学生や高校生の方など、英語を勉強しはじめたばかりの方がまず目指すべきレベルとなります。
CEFR A2レベルに相当します。
【試験の構成】
- リスニング(約30分)
- スピーキング(約8~10分)
- リーディング&ライティング(1時間10分)
ケンブリッジ英語検定とCEFR、IELTSのレベルスケールの比較について動画でも開設されています(英語)。チェックしてみて下さい。
ある程度仕事上で英語を使う予定のある方はFirst(FCE)を目指すとよいと思います。海外赴任をしたり留学を考えている場合はこれ以上のレベルCAEやCPEの取得を目指してみると良いかもしれません。First(FCE)は簡単なわけではなく英語力はもちろんのことながら、試験の対策をしっかりしていることが大切です。
受験要項
それではケンブリッジ英語検定の日程や料金など受験要項に関してご紹介します。
受験日程
受験日程は、高校生等を対象に大学入試目的でIDを発行して持ったうえで受験する方法と、一般の方が受験する方法とで受験日程が異なります。
<大学入試目的>
ケンブリッジ英語検定は1年間に2回受験スケジュールがあります。FCEには中高生向けのfor Schoolsという中高生バージョンの試験も追加で3回用意されています。
<一般向け>
一般向けには受験日程は試験実施会場で異なってきます。
例えば東京のZ会を受験会場として受験する場合:
FCEは、年5回(3月・5月・7月・8月・11月)、そのうち5月・7月11月が中高生向けバージョンのfor schools。
CAEは、5月と10月の年2回。
CPEは、3月と11月の年2回。
といった実施回数となっています。
受験日程は変更になる可能性もありますので、大学入試目的の場合は日本ケンブリッジ英語検定機構のウェブサイト、一般向けは試験実施会場のウェブサイトなどを確認して試験日程の最新チェックをしておくようにしましょう。
受験会場
<大学入試向け>
主に北海道から福岡までの河合塾の校舎がある都市で受験できるようになっています。河合塾を受験会場として設定されるケースが多いです。
<一般向け>
河合塾の他に、会場がいくつか設定されています。詳しくはケンブリッジ英語検定機構の日程と会場ページでチェックしてください。
受験料
参考情報として掲載しておきます。変更になる場合がありますので、詳しくはケンブリッジ英語検定受検料の公式ページをご参照頂き、最新情報を確認してください。
- KEY:9,000円
- Preliminary:11,000円
- FCE:18,500円
- CAE:20,500円
- CPE:23,500円
申し込みから受験までの流れ
大学入試向け
ケンブリッジ英語検定に申し込むためには、大学入試センターが発行するIDが必要となります。日本ケンブリッジ英語検定機構のホームページより、申し込みをします。支払いが確認されるとホームページ上で受験票を確認することができるので、印刷をしてください。
受験票には、受験番号、試験会場の案内図、当日のスケジュール、持ち物が記載されています。試験当日は、筆記用具、受験票の他に本人確認書類が必要です。
試験後は約6週間後にウエブページで確認をすることができ、約2か月後に郵送にて結果ステートメントと、合格者には認定証が郵便にて送付されます。
一般向け
一般で受験される場合は、各試験会場に問い合わせることから始まります。その試験会場ごとで受験までの手続きが異なりますので、試験会場に確認してください。
申込み後からの流れは大学入試向けと大きく変わりません。
ご参考Z会による検定手続き
レベルチェックテスト
ケンブリッジ英語検定機構の公式サイト(本部の方)にて、自分の英語レベルをチェックするためのオンラインテストを受けることができます。選択問題は25問あり制限時間はないためじっくりと自分のレベルを確認することができます。
ケンブリッジ英語検定の実用性
ケンブリッジ英語検定では、大学入試向けの民間英語試験の一つではありますが、一般的にどの程度実用性があるのでしょうか。
日本での認知はまだまだ低いので、これからだと思いますが、認知が上がれば4技能を証明できる英語検定として、英検と並んで実用的になってくるのではないかと考えられます。世界の言語レベル指標に沿ったレベルで受験できますので、世界で通用する検定としては有用です。ですが、一般英語的な要素の強い検定であるため、ビジネスシーンで使える英語力だと証明するには少し物足りないかもしれません。
ヨーロッパやオーストラリアなどでは英語能力の証明として認知されていますので、ヨーロッパやオセアニアで就職を目指されている方や、大学へ留学を目指している方には認知される検定となっています。
イギリスやアイルランドの大学ではCPEやCAEレベルで英語能力の証明として受け付けてくれる大学もあります。
ケンブリッジ英語検定を目指した留学
イギリス・アイルランド・マルタ・オーストラリア・アメリカでは、ケンブリッジ英語検定のFCE・CAE・CPEの合格を目指したコースも開講されています。海外(特にイギリス)では、日本よりもケンブリッジ英語検定の日程が多く設定されています。
これらの試験日に合わせて、おおよそ8週間~13週間の期間でFCEやCAEを目指したコースが開講されています。CPEコースも開講されていますが、少ないです。
その為、受講にはある程度の英語力も求められ、受講開始日も指定されており、受講期間も決まっています。こういった諸条件に合わせての受講が前提となります。
また、フィリピンのセブ島にあるSMEAGという学校では、通常の一般英語コースがケンブリッジ英語検定機構のカリキュラムに準拠しています。フィリピンだと全体的な留学費用もお安く抑えることもでき、更にケンブリッジ英語検定の対策もお得に進めて行くことができます。