留学にIELTSスコアはどの程度必要か
英語の民間検定試験と言えば、日本では英検やTOEFL、TOEICが主流にはなっていますが、IELTSの日本での受験生は年々増加しています。
その背景には、IELTSは英語の4技能で評価されるという点や、イギリス・オーストラリア・ニュージーランドへの留学で主に採用されてきた経緯がありますが、その広がりがTOEFLメインのアメリカやカナダでもIELTSの採用が広がってきているという背景も一因ともいえるでしょう。それでは、このIELTSの試験に関して詳しくご紹介し、どういった留学に使えるのか検証してみたいと思います。
IELTS試験の概要
イギリスやオーストラリア、アメリカなど世界140か国以上で受験することができるなど国際適用性が高い試験となっています。留学や仕事、また移住をする際など英語力を証明することができる試験となっています。
140か国、10,000以上の機関で認められているため、様々な国への留学や海外移住申請に向けて英語スキルの証明として幅広く利用することができます。また日本でも入試など採用例が増えています。
AcademicとGeneral
IELTSにはAcademicとGeneralといった2種類のテストから選ぶことができます。
Academic
Academicは学校向けの内容となっており、大学や大学院に入学する際に基準となることが多くなっています。
General
Generalは一般人向けであり、オーストラリアやカナダといった英語圏に移住申請をする場合、また英語圏で研修をする際にも利用されます。
IELTS for UKVI
イギリスのビザ申請に向けて特別に作られたIELTSです。イギリスのビザを申請する場合に、英語能力の証明が必要な場合は、このIELTS for UKVIのスコアで証明できないとイギリスのビザ申請上では英語能力の証明として認めてもらえません。
IELTSのスコア
IELTSのスコアの出し方や、スコアに相当する英語レベルをご紹介します。
スコアの出し方や見方
IELTSは合否ではなく、1.0から9.0までの数値でスコアがでます。リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングといったそれぞれの項目でスコアがでるので、どの項目が強いのかすぐにわかります。またそれぞれのスコアを合計したスコアがオーバーオール・バンド・スコアとして与えられます。
それぞれのスコアに相当する大体の英語レベル
海外大学に出願するためには、それぞれの項目を合計したオーバーオール・バンド・スコアが6.0~6.5が基準となっていることが多いです。バンドスコアの基準は以下のようになっています。
スコア | 内容 |
---|---|
1.0 | 単語をいくつか知っているレベルで、英語を使うことができる能力には達していません。 |
2.0 | 基本的な単語しか知らず、コミュニケーションをとることはほとんどできないレベルです。 |
3.0~3.5 | 限られた状況ではありますが、ある程度理解することができます。しかしコミュニケーションは途絶えがちです。 |
4.0~4.5 | 慣れた状況であれば、コミュニケーションをとることができます。しかし問題も見られ言葉が複雑になると理解できなくなります。 |
5.0~5.5 | 大概の状況において、意味を理解することができます。またある程度状況が限られるのですが、コミュニケーションをとることができます。 |
6.0~6.5 | ある程度の間違いが見られるものの、効果的な英語を駆使することができます。また状況によってはネイティブ並みにコミュニケーションをとることができます。 |
7.0~7.5 | 複雑な言葉であっても、ある程度の間違いがあるものの使いこなすことができます。またさまざまな状況でコミュニケーションが可能です。 |
8.0~8.5 | 若干間違いが見られるものの、ほぼエキスパートレベルだといえます。 |
9.0 | 間違いがほとんど見られず、流暢にコミュニケーションがとれます。 |
以上のように、IELTSはスコアによって細かくランクがわかれており自分の英語のレベルを正しく知ることができる試験です。
他の試験とのスコア換算
では、IELTSの各スコアが日本ではメジャーであるTOEICや英検などの他の民間の英語試験のどのスコアに相当するか目安を見てみます。他の試験はIELTSとは評価方法や評価されるスキル内容なども異なるため、IELTSのスコアがそのまま他の試験のスコアと同じレベルとして評価できるとは限りません。あくまで目安という事でご留意ください。
IELTS | TOEIC | 英検 |
---|---|---|
1.0 | 100~259 | 5級 |
2.0 | 260~290 | 4級 |
3.0 | 291~440 | 3級 |
4.0 | 450~550 | |
5.0 | 550~740 | 2級 |
6.0 | 741~870 | |
7.0 | 871~990 | 1級 |
8.0 | ||
9.0 |
上記のように、IELTSで7~7.5をとればTOEICでいえば満点、英検でいえば1級レベルということになります。IELTSにはさらに8~9があり、さらに高いレベルで英語を勉強している人達にも向く試験であるといえます。
IELTSの受験に関して
それでは、IELTSの受験日程や、受験場所、受験料など受験に関する概要をご紹介します。受験前によく確認をするようにしてください。
日本で受ける場合の頻度や受験場所
【頻度】
IELTSの試験は、1ヵ月に3回程度の頻度で実施されています。ほぼ毎週受験できると言っても過言ではないですが、全ての会場で毎回開催されているわけではありません。詳しくはIELTSホームページを確認する必要があります。
【受験場所】
以下の16か所となっています。
札幌・仙台・埼玉・東京・横浜・長野・金沢・静岡・名古屋・京都・大阪・神戸・岡山・広島・福岡・熊本
東京と大阪に関しては、ほとんど全ての日程で受験を開催することができます。また名古屋や福岡に関しては月1~2回と毎月受験をすることができます。その他の地域に関しては年間のスケジュールで1~4回となっています。
1回の受験料
1回あたりの受験料は25,380円(2019年現在)です。追加成績証明書の発行手数料は1,100円、郵送料は普通郵便の場合は無料、追跡番号付き郵便を利用する場合は1,600円です。
受験料は変更となる場合もありますので、最新の受験料をチェックしておきましょう。
申込み締め切りと結果がわかる日程
申し込みの締め切りは筆記テストの19日前の正午です。コンビニやゆうちょATMでの支払いを利用する場合は、申し込み締め切りの5日前までに申し込む必要があります。クレジットカードを利用する場合は締切日ぎりぎりまで申し込むことができます。
テスト結果は筆記テストの13日後の13:00にマイページにて確認をすることができます。また数日後に成績証明書が郵送されます。
IELTSに関する留意点
スコアの有効期間
ILETSの結果は筆記テスト実施日から2年間有効です。
再採点
IELTSの特徴として再採点があります。テスト結果や採点に納得がいかない場合は、再採点の申請が可能です。手数料が9,000円必要となるのですが、スコアが変更になった場合手数料は変換されます。この金額はどの技能であっても同じです。
追加成績証明書の発行
成績証明書は受験者の自宅に1通届くのですが、企業や教育機関あてに追加成績証明書を発行依頼することができます。申請をしてから4営業日以内に事務局より指定の場所まで発送されます。しかし送付先はIELTSの認定機関として登録している必要があります。
手続きは筆記試験の13日後の13:00以降にマイページの試験結果閲覧・証明書発行より行うことができます。
留学でIELTSを使うには
IELTSのスコアは、イギリス・オーストラリア・ニュージーランド・アイルランドの大学など高等教育機関では、出願条件である英語能力証明としてIELTSのスコアが認められています。
またTOEFLが主流でもあるカナダやアメリカの高等教育機関でもIELTSのスコアは出願時に受け付けてくれていますので、出願条件を満たしたIELTSのスコアを持っておけばまず出願時の英語力証明には問題にならないと思います。
ただし、以下のような注意事項もあります。
(1)大学などの高等教育機関が定めているIELTSのスコア要件は、大体オーバーオールの総合スコアで提示されてはいますが、特記事項としてライティングで特定のスコアを下回っていない事などスキル別の特記事項が課せられていることも良くあります。こういった特記事項的な要件はクリアするようにしておく必要があります。
(2)イギリスへの留学の場合で、Tier4学生ビザを申請する場合、Higher Education Instituteステータスを受けていない教育機関に出願する場合には、IELTS for UKVIという特別なIELTSテストを受験していくようにしてください。
語学学校の英語コース
スコア不要
語学学校の場合は、一般英語コースであれば英語能力の証明は必要ありません。ただし、ビジネス英語や、それこそIELTSのスコアアップのためのコースなどを受講するには、中級の下レベルの英語力は最低でも必要です。
高校
スコア不要
高校留学の場合、基本的に学内にESLなどの併設コースもあり英語力の証明を出さなくても良いことが多いですが、まったく英語ができないという事になると授業に付いて行けなくなるので、4.5~5.0程度のスコアは目指していかれた方が良いかと思います。
大学準備
5.0~5.5
海外の大学進学を目指すためにファウンデーションコースやパスウェイコースといった大学進学のための準備コースに出願する場合は、コースの内容にもよりますがIELTSのスコアは5.0~5.5程度は取得しておくようにしましょう。
コミカレ
5.0~5.5
俗に短大とも言われる2年制カレッジ(コミカレ)に出願する場合、IELTS5.0~5.5のスコアで出願できる学校が多いです。カレッジによってはこのスコアよりも低い要件で設定して、その分カレッジのESLで英語コースを受講させるなどの制度を設けているカレッジもあります。
大学学部
6.0~6.5
大学の学部留学の場合は、各学部やプログラムによって求められるIELTSの要件は異なってはきますが、6.0~6.5が英語能力の要件として設定されている大学が多いです。
大学院
6.5~7.5
大学院でも大学の中の各専攻やプログラムによって求められるIELTSの要件は異なってはきますが、6.5~7.5を大学院の出願要件として目指していくことをお勧めします。
IELTSのスコア要件は、教育機関毎に異なりますし、同じ教育機関でもコース・プログラムなどによって異なってきます。必ず希望の教育機関とそのプログラムやコースの出願要件を確認して、IELTSではどのくらいのスコアを目指していけば良いか事前にしっかり確認しておくようにしてください。