留学中の住民票にはどう対応しておくべきか
これから留学をする人は、留学の際に住民票を抜くべきかどうか悩むこともあるのではないでしょうか。
住民票を置いておくと、日本国内に住んでいることになり、国民に課される義務が発生します。そのため、留学中で収入がないにもかかわらず、税金や保険料の支払いが必要になることも。
ですから、留学中は住民票を抜きたいと思う人もいるでしょう。ただ本当に留学中に住民票を抜くべきかどうか、留学の期間に分けて解説していきます。これから留学をする人は、こちらを参考に住民票の手続きをしましょう。
半年未満の短期留学なら住民票は動かさないのがベター
海外留学時に住民票を抜く場合、「海外転出届」というのものを役所に提出することになります。
しかしこの海外転出届は、留学期間によっては受理されない場合もあるのです。
留学期間がどのくらいだと、受理してもらえるかは役所により異なり、一概には言えません。原則としては「1年以上の海外滞在では海外転出届を出す」と決まっていますが、多くの自治体で、半年以上の留学なら、海外転出届が受理されているのが現状のようです。
ということは、半年未満の短期留学の場合は、海外転出届が受理されない可能性が高いです。
特に3ヶ月位までの留学なら、手続きの手間を考えても住民票は抜かずに留学をすることをおすすめします。
もしも3ヶ月〜半年までの留学で住民票を抜きたいなら、役所での手続きの時に「留学期間は未定で1年になる可能性もある」とすると、海外転出届が受理されやすくなります。
半年〜1年未満の場合はメリット・デメリットのバランスを考えよう
半年〜1年未満の留学の場合は、海外転出届を出して住民票を抜くべきかどうかは、個人の判断次第です。どちらの場合もメリット・デメリットがあるため、自分にとってどちらが良いのかを考えてみましょう。
ここからは、半年〜1年未満の留学で住民票を抜く場合と抜かない場合について、各項目ごとにご紹介しますので、こちらを参考に判断してみましょう。
手続き面
住民票を抜く場合は、出国時に海外転出届の手続きをする他、帰国時に住民票復活と各種保険の加入手続きが必要です。
抜かない場合は、役所での手続きは必要なく、そのまま出国できます。
健康保険
住民票を抜く場合は、日本の健康保険には未加入となるため、保険料の支払い義務は発生しません。
住民票を抜かない場合は、前年度の収入に応じた保険料が毎月請求されます。ただし、日本で失業状態になっている場合は、保険料の減免措置を受けられる場合があります。詳しくは役所に問い合わせてみましょう。
また、親の扶養に入っている人の場合、住民票を抜いても抜かなくても、親の健康保険の加入者となります。ただし、住民票を抜いた場合は海外で所得がないことを証明する書類を会社から求められます。
会社によっては非常に審査が厳しい場合もあるため、親の扶養に入っている人は、住民票を抜かない方がメリットが大きいでしょう。住民票が日本にあれば、所得証明で扶養対象であることを証明できるからです。
国民年金
住民票を抜く場合は、年金の支払い義務はありません。ただし、将来の年金額が減ってしまいます。
住民票を抜かない場合は、年金を支払っていく義務が発生し、留学中も毎月支払いが必要です。
ただし、住民票を抜いて国民年金未加入の状態になると、支払いをしていない分、将来もらえる年金額が減ってしまいます。それを避けたい場合は、海外転出届を出したあとも、国民年金に任意加入し、年金を払い続けましょう。
住民税
住民税は前年度の所得にかかっているものなので、住民票を抜いた場合も抜かない場合も、支払い義務が継続します。
留学をする場合は、納税管理人を立てて日本にいる家族に支払い手続きをお願いするか、その年度中の残りの住民税を全額支払って留学をしましょう。
ちなみに住民税の年度は6月始まりの5月終わりです。
ちなみに1月1日に日本に住民票がなかった場合は、その年の6月からの住民税の支払い義務がなくなります。
1年以上の留学では海外転出届が必要
1年以上の留学の場合は、海外転出届が必要とされています。ですから、メリットやデメリットを考えず、海外転出届を出して住民票を抜きましょう。
「半年〜1年未満の場合はメリット・デメリットのバランスを考えよう」の「国民年金」でも解説したとおり、年金には任意加入が可能です。
親の扶養に入っている学生の場合は、海外の学校で勉強中である証明を取得しておきましょう。大学留学の場合は問題ありませんが、語学留学の場合は留学期間がしっかり明記されていて、フルタイムコースを取っていることがわかる入学許可証などがあれば、問題なく扶養に入り続けることができるでしょう。
扶養に入っている人の手続きなどは、会社によって異なりますので、詳しくは親御さんに問い合わせてもらうようにしてください。