カナダで運転免許証を切り替えるには
カナダの多くの都市には、もちろんバスや地下鉄、電車などの公共交通サービスが普及しています。しかし、日本と比べて、カナダは国土が広いため、街も四方に大きく広がっています。
そのため、バスや地下鉄だけではどうしても間に合わないこともあります。特に、冬が厳しいカナダでは、バス停で何十分も外で待つことが大変つらくなります。
そこで留学やワーキングホリデーなど長期滞在者向けに、どのようにして日本で持っていた免許証をカナダで切り替え、合法的に運転できるか、そして車を持つときに気を付けたいことについて見ていきたいと思います。
免許証取得方法とルール
カナダでは、州によって交通ルールも、免許証の取得方法やルールも大きく異なります。
ここでは、ブリティッシュコロンビア州、アルバータ州、そしてオンタリオ州を例にあげて見てみましょう。
まず、この三つの州に共通することです。
国外の免許証をカナダ、または州の免許証に切り替える場合、本来ならば、Knowledge testと呼ばれる筆記試験をパスして、その後、Road test、つまり路上試験を受けます。
それをパスすることができたら初めて一人で車を運転することができるのです。
しかし、上位の三つの州を含めたいくつかの州では、特別に日本との協定があり、日本からの免許証を、筆記、路上試験を受けずに、そのまま切り替えが可能です。ですが、その中でもプロセスや条件は州によって異なります。
ブリティッシュコロンビア州(BC州)
BC州では、日本での2年間の運転経験があれば、筆記・路上試験を受けずにBC州の免許証に切り替えることができます。BC州では、6ヶ月以上の滞在中に運転する予定の滞在者は、BC州に引っ越してきて90日以内に切り替えることをすすめています。
必要書類は、
- パスポートとVisitor/Study/Work Permit等
- 日本で発行された免許証(Insurance Corporation of British Columba、通称ICBCが認める翻訳者、または領事館からの翻訳と翻訳証明が必要)
- 切り替え料($31)
- 日本で最低2年間の運転経験を証明するもの(普通は二年以上前に発行された免許証のみで受け入れられますが、それでは不十分であった場合に必要)
切り替えるには、上記の書類を持って、ICBCのDriver Licensing Officeにて申請しましょう。
アルバータ州(AB州)
こちらでも上のBC州と同じように、2年以上前に発行された免許証があれば、それを筆記・路上試験なしでAB州の免許証に切り替えることができます。
必要書類もBC州とほぼ同じになります。
- パスポートとVisitor/Study/Work Permit等
- 日本で発行された免許証(州が認める翻訳者、または領事館からの翻訳と翻訳証明が必要)
- 免許証発行料(有効年数によって異なる)
- 二年以上前に日本で発行された免許証
二年以内に発行された免許証を切り替える場合は、クラス5-GDLという条件付のクラスに切り替わる可能性がありますので、ご確認ください。
詳しくは、Registry Agentsと呼ばれる、州の様々なプログラム(保険や免許証)の申請などを行うオフィスにて聞きましょう。
オンタリオ州(ON州)
ON州では、日本の免許証を切り替える場合、1年の運転経験が認められます。それ以上の年数を認められる為には、政府等が発行した書類などが必要になります。
もし2年以上の運転経験が認められた場合、視力検査のみで、筆記・路上試験なしに免許の切り替えが可能です。2年以下の経験であれば、日本とON州での運転が2年に満たすまで、G1クラスという免許が与えられ、G1クラスの条件下で運転することになります。条件の中には、条件なしの上級の免許証の保持者の同伴が必要、深夜から朝5時までは運転できない、などがありますのでご確認ください。
ON州ではService Ontarioと言われる州のセンターにて免許関連の手続きを行います。
ちなみに、日本の免許証は切り替えの際に没収されますので、ご注意ください。
カナダで運転するときに気を付けたいこと、日本と違うこと
左ハンドルで右側運転
まずは、左ハンドルの車で右側運転をするということが大きな違いとしてあげられます。
これは想像できている人もいると思います。ウィンカーやワイパーのレバーの位置も逆ですし、追い越し車線も日本とは反対なので、慣れるまでは少し違和感があるかもしれません。特に右左折する時に、逆走しないように気を付ける必要があります。
赤信号でのルール
また、右左折する時に気を付けたいのが、カナダでの赤信号ルールです。
カナダでは「赤信号でも右折はOK」というルールがあります。初めて見たときは、こんなに堂々と信号無視する人たちがいるなんて・・・と驚きましたが、体験してみるとこれはとても合理的です。日本でいう常時左折可、ということになります。歩行者や対向車を見て安全が確認できれば信号に関係なく右折することができます。日本と同じように信号を待っていると、後ろの車に迷惑になる場合もあるかもしれないので、覚えておくと良いですよ。
歩行者が最優先
また他にも、「完全歩行者優先」が特徴としてあげられます。
カナダで歩行者として道を歩いていると、ほぼ100パーセントの割合で車が止まってくれます。留学したばかりの頃は、カナダ人の優しさにとても感動したことをはっきりと覚えています。運転する側となればその逆、歩行者を最優先にし、道路を渡りたい歩行者がいたら必ず止まる必要があります。そんなこと、大丈夫、できる!と思う人もいると思いますが、街の中心部だと歩行者が渡りきるのを待つため1回の青信号で車が1~2台しか曲がれないこともしばしば起こり、なかなか忍耐力がいるものです。
高速道路
高速道路も日本とはかなり違います。
まず、料金が無料です。日本のように料金所はなく、どんな車でも高速に乗ることができ、一般道と同じような感覚で使うことができます。国土が広いので移動も大変な距離になりがちなカナダですので、これはとても助かりますね。
ただ、日本のように整備された高速道路ではない場合が多く、道路は舗装されていても一車線だったり、中央分離帯がなかったり、柵がないため動物も渡り放題の場合が多いです。特に秋~冬にかけては熊や鹿が食料を求めて活発になる時期でもあるので、運転には気を付ける必要があります。
車のライトは常にオン
また、常に車のライトをオンにするというルールもあります。
お昼の間でも、明るくても、もちろん暗くても、ヘッドライトをつけておく必要があります。カナダ仕様の車はエンジンを付けると自動でライトが付くように設定されているので大丈夫ですが、海外仕様の車だと自分でつける必要があるかもしれません。
冬用タイヤは必須
そして雪が降るカナダならではのルール、10月からはウィンタータイヤ(スタッドレスタイヤ)の装着が法律で義務付けられています。
バンクーバーの都市部やビクトリアなど比較的暖かい地域は必要ないかと思いますが、雪が降って積もる地域は、冬のタイヤは必須です。雪の状況にもよりますが、大体は3月末ごろまで義務付けられており、積雪が長引く年は4月末までとなることもあるそうです。もちろん、10月の終わりごろからは雪が降ったり地面が凍り始めてきたりするので、ウィンタータイヤなしでは怖くて運転できないはずです。雪の日の運転は、できることなら少しは日本で経験していくと良いかと思います。
カナダでの運転事情のまとめ
細かい違いなどもほかにありますが、カナダで運転することが決まっている場合は、現地へ行く前に少し情報を知っておくだけで焦らずに済むかもしれません。少し街中から外へ出ると自然豊かなカナダでは、長期滞在する場合に車は必須になってくるかと思います。ルールの違いに気を付けながら、楽しいドライブをしてくださいね。