カナダの国旗がカエデに至った背景
カナダの国旗と聞いて、まず思い浮かべるのは赤いカエデだと思います。非常に特徴的な国旗なので、覚えやすい国旗です。
他の欧米諸国では、3色ストライプといった国旗が多い中で、なぜカナダだけこの特徴的なカエデを前面に出した国旗となっているのでしょうか。
カエデはカナダの象徴
カエデ(英語ではメープルリーフ)はカナダの象徴的な植物で、カナダのお土産として一番有名なメープルシロップもありますので、カエデはそれだけカナダを象徴する植物となっています。
日本で言えば、桜や杉、竹、松といったところかもしれません。それだけ、カナダではカエデの種類もいくつかあり、カナダの至る所で何かしらのカエデの木を見つけることができます。
それだけ、カエデはカナダの象徴的な存在となっています。
カエデが選ばれた背景
日本でも桜は代表的で象徴的な植物ではありますが、日本だと桜だけでなく、松や杉など日本の代表的な木とも言える植物があり、日本の象徴的な木は桜と言える場合もあれば言い切れない場合もあると思います。カナダでも同様な状況の中で、なぜカエデが選ばれたのでしょうか。
歴史を紐解くと、1860年ころまでに遡ります。
当時、イギリス領であったカナダで、イギリスの皇族がイングランドの象徴でもあるバラを身にまとってカナダを訪問しました。その際にカナダ人も何かしら象徴的なものを身にまとう必要があったようなのですが、その時にカエデ(メープルリーフ)が選ばれたようです。
カエデにもいろいろな種類がありますが、カナダの国旗に採用されているのはサトウカエデと呼ばれる種類のカエデになっています。
その後も、カナダの軍隊の袖等にメープルリーフが描かれるようになり、カナダと表すものとして徐々にメープルリーフが一般的になってきました。
また、カナダは連邦国家で、それぞれの州で自治が認められています。そのため、一見ばらばらに見えがちなカナダ国内でカナダの統一の象徴としても、カナダ各地で見ることのできるカエデが選ばれたという背景があります。
そのカナダ各州の統一感を出す意味もあり、国旗のカエデの葉の先端(尖がった部分)と枝は合わせて12ヵ所で描かれていて、この葉の先端と枝でカナダの各州と準州を表しカナダの一体感を出すようにされています。
イギリス領であれば、オーストラリアやニュージーランドのように国旗にユニオンジャックが描かれている場合も多々ありますが、カナダではそのユニオンジャックを外し、独立を示すだけでなく、カナダ統一の象徴でありカナダの一体感醸成のためにも、カエデを前面に出すようになったという背景があります。
カナダの旧国旗
ちなみに、このカナダの国旗を現在のデザインへと変更となったのは1964年のカナダ国会決議できまりました。それ以前の旧カナダ国旗には、赤の背景色にイギリスのユニオンジャックが掲げられ、カナダ国王の小紋章が描かれていました。この旧国旗は1965年まで使用されていました。
カナダ国旗制定経緯
このような背景でカエデがカナダの国旗にも表されるようになってきて、1925年からカナダの国旗をどうするかという作業が始まりだしました。それでもなかなか作業が進まず旧国旗で通してきていたのですが、第二次世界大戦後の1946年に委員会を設けて独立したカナダの象徴としてのカナダ国旗を制定する検討が本格的に始まりました。
数々の国旗案も出てきましたが、その中で特色のある現国旗デザインが1964年12月に決まり、1965年2月15日から現国旗が採用され現在に至っています。
カナダでは、現在の国旗を制定した2月15日をNational Flag Day(国旗記念日)としています。日本でいう日の丸が国旗として制定された1月27日の国旗制定記念日と同じような扱いです。
なぜ国旗の色は赤?
カナダの国旗の赤と白という組み合わせは、イギリス統治時代にまで遡ります。1921年にジョージ5世によって正式なカナダ国の色として宣言されました。その流れから、旧国旗も赤を背景色に採用し、その流れで現国旗も赤を基調色としています。
左右の赤で太平洋と大西洋を表していて、白はカナダに積もる雪をを表しています。ちなみに、色の意味合いとしては、赤は「勇気・忍耐・強さ」を表していて、白は「平和・誠実さ」を表していることもあるようです。
カナダの国旗にはカナダの歴史も大きく絡んでいます。カナダの歴史を本などで学んでみるのも面白いかもしれません。