日本と異なるニュージーランドのファッション事情
広大な緑の牧草地、広々としたビーチ、鬱蒼とした原生林。都市部で暮らしていても自然が身近なニュージーランドでは、ファッションの捉え方が日本とは少し違います。
今回は私たち日本人とは少し違う、ニュージーランドのファッション事情について紹介します。
基本はカジュアル
都市によって度合いは異なりますが、基本的にニュージーランド人のファッションはカジュアルです。
それも日本でいうところの1マイルウェアに近いカジュアルレベルなので、日本で「電車に乗って出かける」時のようなファッションをすると、周囲から浮いているような気分になるかもしれません。
心地よさ・実用性優先
「衣替え」という概念からもわかるように、日本人は四季折々、その季節にあった色や素材を楽しみますよね。しかしこれは日本独自の文化であることをご存じですか?衣替えはある意味では実際の気温よりも暦を優先し、実用性よりも見た目を選ぶ行為ともいえます。
ニュージーランドは日本と同様、はっきりした四季がある国ですが学生服も含め、衣替えはありません。
「季節とマッチした服を楽しむ」感覚はなく、心地よさや実用性がいつでも優先順位第一位なのです。
そのため真冬の晴れた日に暑いなと感じれば半袖を着て街に出るし、反対に真夏に寒いと感じれば躊躇なくダウンジャケットを羽織ります。季節に合わせた服を着ることを当然として育ってきた私たち日本人には、少し理解が難しい感覚ですよね。
他人の目よりも自分の気持ちを優先
小さな子供が晴れた日に、長靴で幼稚園へ行くのもよく見かける光景です。保護者も「雨じゃないのにおかしいでしょ」とは言いません。
さらに「今日はお気に入りのパジャマで行く!」ということもあります。こちらも保護者は止めません。
なぜならその子は、その日その服を着たい気分だから。「晴れてるのに」とか「パジャマはお出かけに着る物ではない」という、衣服に関する常識や固定観念を植え付けないのです。
その結果、幼い頃から「自分が着たいものを着る」という意識が養われるようです。
もちろん、成長してからもその考え方はしっかり根付いています。体型や年齢、流行は気にしない、他人から見た似合う・似合わないは二の次という人が多いのです。これもまた日本人はなかなか持てない感覚ですよね。
また、私たち日本人は服や持ち物が友達と被ったり、同じアイテムを持つ人とすれ違ったりするのは避けたいと思いがち。でもニュージーランド人は気にせず「おそろいだね」で終わりです。
セレモニースーツ?なにそれ?
日本では入学式に卒業式、冠婚葬祭などには暗黙の了解のようなドレスコードがありますが、ニュージーランドにはありません。
特に幼稚園・小学校・中学校・高校では(ほとんどの場合)入学式も、日本的な卒業式もないので当然セレモニースーツは存在しないのです。
入学式・卒業式の代わりといえるような集会を行う学校もありますが、親が正装することは皆無です。
学校の個人面談なども同様で「キレイめカジュアル」どころかTシャツ・デニム・スニーカーで全く問題ありません。
もうひとつ、自由度の高さに驚かされるのがお葬式です。海外の映画やドラマでは黒い喪服を着用しているシーンを見かけますが、ニュージーランドでは「故人は華やかなのが好きだったから」と大きな花柄の派手な服を着て参列するのもOKなのです。
日曜日に教会に行くような、ある程度きちんとしたスタイルではあるものの、色についてはそれほどうるさくありません。お葬式には黒以外の選択肢はない私たちからすると、なかなか大きなカルチャーショックかもしれません。
古着(リサイクル)大好き。消費のペースがゆっくり
日本で古着というと「おしゃれで高価なビンテージ服」というイメージですが、ニュージーランドでは言葉通り「リサイクル服」がほとんどです。
日常的な服を取り扱うリサイクルショップはOpshop(オプショップ - Oppotunity shopの略 )と呼ばれています。
どの街にも必ずあり、観光ガイドブックにも美術館巡りやカフェ巡りと並び、Opshop巡りの項目があることも珍しくありません。
OpshopにはNZ全土でチェーン展開をしている「Savemart」、人道団体Red Crossが運営するショップ、個人経営ショップの3種類があります。SavemartやRed Crossは寄付された衣類を販売しており、個人経営ショップは買取や委託販売の衣類がメインです。
日本と比べると新品衣類の価格が高いことや品揃えの少なさもあり、リサイクルショップでの買い物はとてもポピュラーです。
ファストファッションをよしとせず「自分にできるエコ活動」として、進んでリサイクルの服を選ぶ環境保護に熱心な若者も多く見かけます。
また「こんなにいいものを見つけた!」という宝探しのようなワクワク感を味わえるのもOpshoppingの醍醐味。Instagramには#opshopや#thriftという大きなタググループがありますよ。
ご参考Savemartのサイト
まとめ
「自分が好きなものを着る」「リサイクルショップを活用する」この2点からも見えてくるように、ニュージーランドでは日本ほど顕著に流行を感じません。
人の目を気にせず、自分の好きなものを選べるニュージーランドでの暮らし。周囲に合わせることに息苦しさを感じていた人は、ほっと一息つけるのではないでしょうか。