アメリカでは消費税はどのくらいかかる?税率何%?

アメリカの消費税の仕組み

アメリカには消費税というものはなく、消費税に似た税金として小売売上税(Sales Tax)という税金があります。日本のように国で一律税率ではなく、州の税率と郡市の税率で構成され、州、更には群や市で税率が異なります。州によってはこの小売売上税が課税されない州もあります。また物品により減免措置もあります。

州税率と“平均”郡市税率の合計で、アメリカで一番税率の高い州がルイジアナ州の10%、一番低い税率の州がオレゴン州・モンタナ州・デラウェア州の0%となっています。

消費者の立場からすると消費税と同じようには見えますが、消費税とは仕組みが異なり間接税ではありません。

アメリカは小売売上税

アメリカへ留学をしようと思うと、現地での税金のことも気になるかと思います。ヨーロッパをはじめ海外での消費税は、税率20%など海外の国では日本よりも結構高い税率を耳にすることもしばしばです。では、アメリカでは消費税ってどういう仕組みで税率何%くらいで設定されているのでしょうか?

結論から言うと、アメリカには消費税がありません。

日本では当たり前に払っている間接税である消費税ですが、アメリカでは消費税が導入されていません。その代わりにアメリカでは『小売売上税』(Sales Tax)という税制度が設けられています。この『消費税』と『小売売上税』はどう違うのか、また州ごとの税率の違いについてご説明します。

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消費税と小売売上税の違い

そもそも、小売売上税と消費税は全くの別物です。同じ間接税という位置付けは変わりませんが、大きな違いがあります。

製品が私たち消費者のもとに届くまでに、「製造業者」、「卸売業者」、「小売業者」などのいくつかの段階があります。例えば、ポテトチップスが消費者に届くと考えてみましょう。

ポテトチップスが作られるところを「製造業者(メーカー)」

製造されたそれら大量のポテトチップスを販売店へ流通させる業者が「卸売業者」

そして、その大量のポテトチップスを卸売業者から購入して、消費者へ販売するのが「小売業者」

またこの小売業者は、私たちが普段買い物をするスーパーなどにあたります。

消費税とは、製造されて消費者のもとに届くまでの、この「製造業者(メーカー)」「卸売業者」「小売業者」「消費者(エンドユーザー)」すべての段階に課税される税制度のことをいいます。このとき、「卸売業者」「小売業者」「消費者」はそれぞれ仕入先に払った税金から、販売先から受け取る税金を差し引いた額を納税することになります。

それと比べて小売売上税とは、「製造業者(メーカー)」「卸売業者」「小売業者」の段階では課税はされず、「小売業者」から「消費者」に届くまでの段階のみに課税される税制度のことをいいます。

つまり消費税では、「卸売業者」「小売業者」「消費者」が、税金が課せられ、小売売上税では、「消費者」のみに税金が課せられるというわけです。この小売売上税は、消費者が商品を購入する際に支払額に含まれる形になりますので、別途自分で計算して支払う必要はありません。アメリカで購入したレシートにSales Taxが含まれており、そこで支払いを済ませています。

またアメリカでは、小売売上税の制度より、「卸売業者」と「小売業者」は再販するために製品を仕入れるため、税務局の再販許可証を取得しなければなりません。

消費税の問題

消費税という税制度には、免税や軽減税率が適用されにくいという問題があります。例えば、生肉は免税、ハンバーグなどの加工肉は課税されるとします。

消費税の場合、製造業者、卸売業者が生肉を販売し、小売業者がそれを加工して消費者へ販売したとすると、製造業者や卸売業者に納めた消費税は免税と扱われるのか、通常の課税として扱われるのかが疑問になります。しかし、小売売上税の場合は、消費者のみが課税対象なので、小売業者が生肉を加工しようと、そういった製造業者、卸売業者、小売業者への影響はなく、免税・軽減税率が適用されやすいという特徴があります。

アメリカで消費税が導入されないわけ

アメリカでも幾度も消費税などの間接税導入の議論が持たれてきましたが、いまだに消費税の導入には至っていません。それはアメリカでは「消費税・付加価値税などの間接税が必ずしも万能と評価できない」と判断しているからです。

アメリカ人は自立主義を持つものが多く、そのことから新たな企業が日々立ち上げられています。赤字の企業や立ち上げ当初の企業が消費税・付加価値税などの間接税を支払わなければならなくなると、多くの企業が潰れていってしまいます。

※ちなみに、日本では零細企業でも設立から3年以上経過して売り上げが1,000万円を超えると消費税を支払わないといけません。

企業が間接税を支払わなければならないのは、その企業にとっても、また経済全体にとっても非常にマイナスであるため、企業を助けることは経済の流れを良くし、それが国全体を成長させることにつながるのです。つまり、間接税である消費税を導入することそのものが、経済としてマイナスになると捉えられているために、アメリカでは消費税が導入されていません。

税率は州ごとに異なる

アメリカの小売売上税に対する税率は州、郡、市ごとに違いが分けられています。

その中で最高の税率が課せられているのが、ロサンゼルスのサンタモニカ市になります。サンタモニカ市の総税率9.5%で、カリフォルニア州の州税が7.5%、ロサンゼルス郡(群税)が1.5%、サンタモニカ市(市税)が0.5%という内訳です。

このように、小売売上税はその州、群、市によって税率が異なるのが特徴です。

それとは逆にオレゴン州、モンタナ州、デラウェア州では、小売売上税が課せられていないので、オレゴン州で買い物をした際、税金はかかりません。しかし、他州からオレゴン州で買い物をした場合は、税金を納めなければならない可能性があります。

主要州の州税

日本でも留学先として主要な州の州税が何%か、まとめてみました。あくまで小売売上税を構成する州税となりますので、繰り返しになりますが、州税=その州の小売売上税となる訳ではありません。

アメリカの小売売上税がチェックできるサイトの掲載情報を基にまとめています。

カリフォルニア 7.25%~10.25%
フロリダ 6%~8%
ハワイ 4%~4.5%
イリノイ 6.25%~11%
マサチューセッツ 6.25%
ニューヨーク 4%~8.875%
オレゴン 0%
テキサス 6.375%~8.25%
ワシントン 6.5%~10.4%

小売売上税の減免措置

日本でも消費税の軽減税率が議論されていたりしますが、アメリカではこの小売売上税に対して物品ごとに減免措置がされていたりします。

その一つが生活必需品で、食料・薬・衣服は州により免税だったり減税となったりします。そしてサービス・不動産・ソフトウェアなどの無形商品も免税措置が適応されています。

その他の税

これまで紹介した税金以外でも商品やサービス等に含まれる税金を見ておきます。

使用税

アメリカでは小売売上税の他に、使用税(Use Tax)というものがあります。

そのためたとえオレゴン州で商品を購入したとしても、他の州で商品を使用するのであれば、商品を購入した州から、その商品を使用する州の税率を差し引いた使用税を納めなくてはなりません。

例えば、オレゴン州のお隣ワシントン州では、使用税の支払い方法に、オンラインで支払う方法専用の用紙に記入して支払う方法とがあります。

Excise Tax

アメリカには、これまで説明した小売売上税や使用税のほかに、Excise Taxと呼ばれる物品税があります。

これは、輸入品など国際取引において政策で決められた枠組みの中で特定の商品やサービスに含まれる税です。主に、ガソリン等の燃油やお酒やタバコ、航空運賃等に含まれています。

アメリカの物価に関する体験談

アメリカの小売売上税を含めた物価に関してサンフランシスコに留学された方による実際の現地の声も掲載しています。

アメリカの留学体験談をチェック

まとめ

いかがでしたか?アメリカでは州などによってその小売売上税の税率は異なり、少しややこしいと思われますが、一度理解しておけば簡単です。消費税の問題となる免税・軽減税率の適用が、小売売上という形で容易に適用されることができます。アメリカへ訪れる際は、現地のそういった小売売上税などを前もって知っておくことが大切です。

これらの税金はアメリカの物価にも大きく影響を与えてきます。物価も変われば留学や旅行などでアメリカに滞在する費用も変わってきますので、小売売上税について知っておけば予算を決める上でも役に立つかと思います。

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