アメリカの入国審査の注意事項と心構え
留学でも旅行でもアメリカに行くには、事前に申請が必要なビザを取得するか、または事前にビザ申請が必要ないESTAを取得するかのどちらかになります(※日本国籍を前提とした場合)
そしてアメリカ最初の関門(ビザ取得者の場合は次なる関門とでも言ったらよいでしょう)が、入国審査です。
アメリカの空港に到着して、入国審査までの一連の流れをロサンゼルス空港の例でご紹介しています。アメリカの入国審査は厳しいという話もよく耳にしますが、しっかりした目的をもってしっかり対応していけば恐れる心配はありません。
なお、アメリカの場合は、アメリカ国内で乗り継ぎして他国へ向かう場合でも、最初に到着した空港で入国審査が行われます。そのため、アメリカで乗り継ぎをする場合でも、入国審査を念頭に入れておくことがカギとなります。
ビザかESTAは必ず必要です
アメリカに事前に何も申告することなく、空港でアメリカ行きの飛行機に乗ることはできません。必ず、ビザを予め取得しておくか、またはESTAの登録が必須となります。
ESTAについて
ESTA(エスタ)とは、Electronic System for Travel Authorizationの略で、アメリカへの渡航者管理を電子的に行うシステムのことを指しています。このシステムに登録することで日本を含む特定のパスポート保持者は、事前のビザ申請をすることなくアメリカに最長90日まで滞在することができます。よくビザ免除プログラムといった言い方もされています。
旅行者多くはESTAを事前に申請することになるかと思いますので、アメリカ行きの飛行機に乗る時間の72時間前までに必ずESTAの登録を済ませておくことが重要です。ESTAの登録が確認できなければ、空港でアメリカ行き飛行機への搭乗が拒否されます。
ESTAの申請は難しいものではありません。日本語での説明もありますので、公式のサイトからESTA申請をするよう注意してください。
ビザ保有者
アメリカの留学でよく申請することになるF1ビザやM1ビザ、またはその他のカテゴリーに当たるビザ保有者はESTAの申請は必要ありません。そのまま空港でアメリカ行きの飛行機に搭乗できます。
飛行機を出て入国審査までの流れ
飛行機がアメリカの空港に到着し飛行機を出たら、まずは「US Customs and Border Protection」とある案内表示に従って進んでいきます。
しばらく歩くと、案内表示にAPCについて書かれた案内表示も見えてきます。
APCとは、Automated Passport Controlの略で、入国審査を簡略化する目的でKioskと呼ばれる端末でパスポートチェックを自動で行うシステムのことです(後述しています)。ただ、このAPCは全ての渡航者が利用できるようになっておらず、以下のようにAPCを利用できる対象者は限られています。
- ESTA渡航者
- アメリカ国籍保有者
- アメリカ永住者
- カナダ国籍保有者
- B1/B2、またはDビザ
留学関係でいうと、ESTAで入る方はAPCが利用できるようになりますが、残念ながらF1やM1ビザではこのAPCが利用できません。
ご参考APCについて(英語)
APCの使い方
先にもご紹介したように、入国審査を受ける前に、ESTAで入国される場合は、まずはAPCでパスポートの登録をしなければなりません。
こんな具合にAPCのKioskの端末が何十台体制で並んでいます。
アメリカ国籍(永住者含む)以外は、こっちに進んでいくださいという案内があり、ESTAの場合はNon-US Citizensの方へと進みます。その先にKioskが並んでいます。
Kioskはこのような端末になっています。この端末上で、パスポートのスキャン、指紋採取、顔写真を撮るようになります。日本語での案内もありますので、英語がわからなくても全然問題ありません。
この機械のすごいところは、背の高さに応じてカメラの位置が自動的に上がったり下がったりします。
Kiosk上で、税関申告書の内容も質問に出てきます。その為Kioskで答えておけば基本税関申告書の記入は必要ありません。
学生ビザで入る場合は、Kioskは利用しませんので税関申告書をあらかじめ記入しておく必要があります。税関申告書は飛行機の機内で渡されますので、税関申告書の記入を予めしておきましょう。
もし何か不明なことがあれば、Kioskの周りには空港スタッフもいますので、この場合は英語にはなりますが、アメリカ到着後最初の英語での会話練習と思って質問してみるのも良いかもしれません。的確な答えをくれるかは別として。
Kioskで、パスポートを登録し、指紋も撮り、顔写真も撮り、質問にもすべて回答すれば、最後にレシートが出てきますので、そのレシートを無くさないようしっかりパスポートと一緒に握っておきましょう。
Kioskでの登録が終われば、いよいよ入国審査です。学生ビザの方は、このままKioskをスキップし入国審査に臨むことになりますが、タイミングが悪ければ、このように長蛇の列にはまることになります(ロサンゼルス空港の場合)。他の空港の状況は分かりませんが、ロサンゼルスはこの長蛇の列で悪名高いようです。カリフォルニアではまだサンフランシスコの方がましということも聞きました。
ちょうどこの画像を撮影した時は、Kioskで端末操作終了後、入国審査まで40分かかりました。もちろん、タイミングが良ければスムーズに行くこともあるようなので、常に並ばないといけないという事はないようです。ただ、乗り継ぎ便がある場合などは、この入国審査での待ち時間もしっかり念頭に置いておいた方が良いと思います。
運が悪ければこのように長い列にならんで待たなければいけません。長らく待った後、(ロサンゼルス空港では)沢山あるブースで審査官とアメリカへの渡航目的などいろいろ聞かれて、問題なければ無事審査パスということになります。
APCのKioskについて説明動画
英語での説明にはなりますが、サンフランシスコ空港でのKioskの操作方法と審査官への対応について解説している動画です。
入国審査場で提示するもの
入国審査場で提示するものは、ESTAかビザかで異なります。
ESTAの場合
ESTAの場合は、パスポートとAPCのKioskで発行されたレシートのみで大丈夫ですが、色々と質問された時のために帰りの航空券や滞在先など証明できる書類も手元にあると無難です。
ビザの場合
B1/B2やDビザを除き、アメリカの空港でAPCのKioskは利用できませんので、以下の書類を手元に用意して、そのまま入国審査に臨んでください。
※ここでは留学を念頭に学生ビザの場合でご紹介します。
- パスポート
- I-20(F-1/M-1の場合)
- 財政能力証明(英文)※残高証明書など
- 入学受け入れレター (Letter of Acceptance)
- I-901 SEVIS費支払書
- 学校担当者の連絡先がわかる書類
- 税関申告書
問題なければ、パスポートに入国スタンプが押されます。
ESTAで留学する際の入国審査
ESTAで留学される場合、F-1/M-1ビザの場合と異なりステータスは「ビジター」と同じ扱いになります。そのため、英語学習目的で入国審査に臨むと、「勉強であればなぜ学生ビザを所持していないのか?」と不審がられるケースもよくあります。審査官によっては別室に連れて行かれ、渡航者の渡米目的やアメリカでの連絡先に電話したりするなどして確認をとったりして空港から出るのに長時間を要することもあります。
ESTAで留学するためアメリカに入国する場合は「観光」目的で入国するようにした方が無難です。
学校からの入学許可証などを提示すると逆に不審がられますので、パスポートを提示してそのまま入国で構わないかと思います。ただし、入国審査官によってESTAによる入国も厳しくチェックされる可能性もありますので、対策が予め必要になるケースもあります。
1ヶ月程度の留学であれば、通常の観光目的で大丈夫だとは思いますが、2ヶ月~3ヵ月の留学となると滞在上限(90日)期間ギリギリにもなりますので、2ヶ月~3ヵ月の期間観光で滞在する正当な理由をしっかり練っておくと安心です。
なお、純粋に観光目的であれば、特に警戒することも無いかと思いますので、審査官にしっかりと渡航目的を伝えましょう。
入国審査で聞かれること
入国審査では簡単な質疑応答が行われます。もちろん英語で行われますので、予め想定問答は考えておくと安心です。ただ、質問内容は審査官によって異なりますので、想定していた事が聞かれないこともありますし、想定外の質問も良くあります。リラックスして臨みましょう。
アメリカの入国審査は厳しいとも言われていますが、怪しさを感じさせずに質問に対して目的に沿った回答をすればそこまで厳しいとは感じません。アメリカには非英語圏の観光客も多くやってきます。英語でうまく意思疎通できないという理由だけで入国拒否にあう事はまず考えられませんので、英語ができないことを理由に堅く感じる必要はありません。
滞在の目的
- Why are you visiting the US?
- アメリカに渡航される目的は何ですか?
必須の質問と言っても過言ではないでしょう。ESTAやビザの内容に沿って答えることが大切です。観光であれば「sightseeing」、出張であれば「business (trip)」と答える形で良いかと思います。ESTAで語学学校などに通われる場合は、上記ご説明の通り注意する必要があります。
滞在の場所
- Where are you staying?
- どこに滞在される予定ですか?
ホテル、民泊、ホームステイ、知人宅などの住所になります。怪しまれても大丈夫なように滞在先が証明できる書類など出せるようにしておくと安心です。ホテルであれば「at 〇〇 hotel」、ホテル以外であれば「this address」といって住所が書かれた紙を見せるものよいでしょう。
どういった人物に会うか
- Who are you visiting?
- 誰のところに訪問しますか?
純粋に観光目的であれば聞かれないとは思いますが、知人に会いに行く目的だったり、出張だったりすると誰と会う予定なのか聞いてくることもあります。「visiting my friend」や「visiting my business partner」など実際の目的に応じて答えましょう。
滞在する期間
- How long are you staying?
- どのくらいアメリカに滞在しますか?
よく聞かれる質問の一つです。アメリカの滞在プランを説明したり、帰りの航空券を提示するなどして、アメリカの滞在計画を示せるようにしておきましょう。
5日間であれば「for five(5) days」、1週間であれば「for a week」と滞在する期間に合わせて答えましょう。ESTAの場合は、くれぐれも90日以上の滞在と答えてしまわないように。
過去のアメリカ渡航歴
- How often do you come to the US?
- どのくらいの頻度でアメリカに来ていますか?
ESTA入国を繰り返して実質的なアメリカの滞在期間を延ばす渡航者もいますので、そういったESTAの不正利用をこれまでしていないかチェックする質問です。
初めてであれば「This is first time」、2回目であれば「This is second(2) time」など回数に応じて答えましょう。
直近での渡航頻度が多いと、滞在目的で入国を繰り返していると判断され、別室に連れられて入国拒否にあうという最悪のケースもありますので、くれぐれもご注意ください。
入国審査での質問について参考動画
10分英会話のReikoさんがアメリカ乳おっく審査での質問について解説してくれていますので、こちらも是非参考にしてみて下さい。イメージがどんどん湧いてくると思います。
ハワイの例ではありますが、Azumi Sawaさんという方が、アメリカの入国審査での質問について詳しく動画で説明してくれていますので、こちらも参考になると思います。
入国審査での心構え
アメリカ入国の関門の一つが入国審査だと思います。しかも英語での受け答えになりますので、緊張する場合も出てくるかもしれません。ゆっくり落ち着いて審査官の質問に応じるように心がけてみて下さい。審査官の方も渡航者の皆が皆英語ができるとは思っていないはずですので。
英語がわからない
早くて何言っているかわからない場合は、以下のように審査官に話しかけてゆっくり喋ってもらいましょう。
- Speak slowly, please?
- ゆっくり話してくれませんか?
英語が聞き取れなかった場合、すみませんといってもう一度同じことを言ってもらいましょう。
- Pardon? / Sorry?
- すみません、もう一度良いですか?
リラックスする
あまりにも表情が硬く言動も堅苦しくなっていると、審査官に怪しまれる可能性もありますので、リラックスして落ち着いた対応で入国審査に臨みましょう。
パスポートの顔写真
過去に報告があった例ですが、パスポートの顔写真と違うということで審査官に怪しまれたケースがありました。パスポートの顔写真と比べてどう見ても異なるような髪型や化粧にならないように入国審査に臨むことも気を付けておきたい点の一つです。
怪しまれる格好をしない
ある程度は身なりを整えて審査に臨みましょう。スーツを着こなして姿勢を正してといったところまでは追求しなくても良いと思いますが、不審者に思われないように身なりをある程度整えておくことは大切です。
アメリカで乗り継ぎする場合
アメリカの空港で、アメリカ国内へ乗り継いだり、アメリカ国外(例えばカナダ)へ乗り継いだりする場合は、最初に到着したアメリカの空港で、国内線であろうが国際線であろうが、必ず入国審査を受けなければなりません。
しかも、入国審査の後には、到着便の飛行機に預けた荷物を必ずピックアップする必要があります。更に、ロサンゼルスなど大空港となれば、場合によって次の乗り継ぎ便へ搭乗するためターミナル移動という事態も発生します。
初めに到着したアメリカの空港で、これまでご説明してきたように入国審査に時間がかかることも想定しておいたうえで、余裕を持った乗り継ぎを計画するようにしておきましょう。
飛行機のチケットを予約する時、アメリカの空港での乗り継ぎ時間が、規定の最低乗り継ぎ時間を満たしているという理由だけで現実と少しかけ離れた乗り継ぎ時間で航空チケットが予約できたりもします。実際に、予定した乗り継ぎ便に間に合うかどうかは、予測できない入国審査での待ち時間が大きく関わってきますので、余裕をもって乗り継ぎ便を手配するようにしましょう。