イギリスの住宅にかかる税金~カウンシルタックスとは?
日本同様、イギリスでも国民が支払う税金は国家の大切な財源となっています。日本の消費税に相当するVAT(付加価値税)や所得税などのほか、カウンシルタックスと呼ばれる日本では馴染みのない税金も重要な財源の一つとなっています。
イギリスに留学する場合やワーキングホリデーを考えている方には、必見。イギリス政府の重要な財源の一つ「カウンシルタックス」についてお話ししていきます。
カウンシルタックスの概要
では、はじめにカウンシルタックスの概要について説明していきましょう。
カウンシルタックスとは?
カウンシルタックスは、住居資産に課せられる税金です。その金額は資産の評価に基づいて計算され、計算方法はイングランド、スコットランド、ウェールズは同じですが、北アイルランドは異なります。
日本の固定資産税に似ていますが、固定資産税との大きな違いは所有者ではなく居住者に支払い義務があるところです。
またイギリスでは日本の住民税に相当する税がないため、このカウンシルタックスが日本の住民税の役割も果たしています。
納税額
納税額を説明する前にまず、資産の評価区分について紹介していきます。資産の評価は以下のように分けられます(イングランドの場合)。
- A:40,000ポンド以下
- B:40,001〜52,000ポンド
- C:52,001〜68,000ポンド
- D:68,001〜88,000ポンド
- E:88,001〜120,000ポンド
- F:120,001〜160,000ポンド
- G:160,001〜320,000ポンド
- H:320,001〜
(1ポンド=約150円で計算)
次に上記区分に基づく年間納税額(2019〜2020)を紹介していきます。(ロンドン市内のカムデン地区の場合)
- A:1,041.57ポンド
- B:1,215.16ポンド
- C:1,388.76ポンド
- D:1,562.35ポンド
- E:1,909.54ポンド
- F:2,256.73ポンド
- G:2,603.92ポンド
- H:3,124.70ポンド
居住者が支払う
先の項目で述べた通り、カウンシルタックスを支払うのは所有者ではなく、その住居に居住している18歳以上の居住者です。またイギリス人のみならず、イギリスに居住している外国人にも支払い義務があります。
イギリスでは、住居を投資目的で購入する人も少なくはありません。つまり購入後自分自身がその住居に住むのではなく、他人に住居を貸し出し、収入を得ている人が多く、カウンシルタックスを所有者以外が支払っているケースは多くあります。
またイギリスでは住宅費の高騰から、フラットシェアと言って、一つの住居を複数人でシェアして居住するスタイルが一般的となっています。その場合は居住している人たちで協力して支払いを行います。
免税・減税対象者
上記で紹介した通り、カウンシルタックスは住居価値が一番低いAランクでも年間1,000ポンド以上の支払いが必要となりますが、免税・減税対象となる場合もあります。
シングル居住者
その住居に一人で居住している場合、25パーセントの割引が適用されます。例えばカウンシルタックスの年間支払額が1,000ポンドの場合、シングル居住者は750ポンドに減額されます。
学生
フルタイムの学生の場合もカウンシルタックスの割引を受けることができます。もし学生一人でフラットに住んでいる場合は免税、もしくはフラットシェアしていて全員が学生の場合も免税となります。
また学生1人、社会人1人でシェアしている場合は25パーセントの割引が受けられますが、学生が複数人いても社会人が2人以上となると割引は適用されません。
なお、学生としての割引を受けるためには大学に在学証明書の発行を依頼し、居住しているカウンシル(役所)で手続きを行う必要があります。
請求・納入は?
カウンシルに登録
引っ越しをしたらまず居住地域のカウンシルでカウンシルタックスの手続きを行います。直接カウンシルに赴いての手続きも可能ですが、現在はオンラインでの手続きも可能となっています。
なお、フラットシェアで住居を借りる場合、所有者(大家)がすでに登録している場合も多くあります。
請求書が郵送される
1年間分のカウンシルタックスの支払い請求書が年初めに郵送されます。支払いは通常は毎年4月から10回払いとなっており、月初めまでに当月分の支払いをすませるようになっています。
なお、カウンシルタックスは住居にかかる税金のため、年の途中で居住者が変わっても請求額が変更となることはありません。(ただし免税、減税の手続きを取った場合は変更となります。)
また、支払いが遅れると、延滞料金が請求されるため、支払いが遅延することないように留意することが必要です。
支払い方法
カウンシルタックスの支払い方法はカウンシルで直接支払う他、以下の方法があります。
- 郵便局で支払う
- ペイポイント(通常多くのオフライセンスがペイポイントともなっています)
- 銀行自動引き落とし
部屋代に含まれる場合もあり
先の項目でも紹介した通り、イギリスでは複数人でフラットや家をシェアするフラットシェアをする人が少なくありません。
その場合、毎月の部屋代にカウンシルタックス代が含まれている場合もあり、大家が代表して支払っているため、その場合は個別に毎月支払う必要はありません。部屋を契約する際にカウンシルタックスが部屋代に含まれているかどうかを確認すると良いでしょう。
カウンシルタックスのまとめ
イギリスのカウンシルタックスについて紹介いたしました。カウンシルタックスは上記で述べた通り、日本の住民税の役割も果たしており、その地域の運営には欠かせない財源となっています。つまりカウンシルタックスをきちんと納税することにより、自分自身の生活向上につながるのです。
イギリスで生活する際は、カウンシルタックスの支払いを忘れず、また学生の場合はきちんと免税手続きをとり、快適な毎日を送っていきましょう。