イギリスの消費税は何%?何が不課税になる?
イギリスへ留学の準備を進める中、心配になるのはお金についてではないでしょうか。
特にいまは円安が続き2021年8月時点では1ポンド155円前後だったのが2024年8月現在は1本ポンド190円前後となっており、現地の物価は日本の約1.5倍〜2倍といったところです。
また日本では年々消費税が増税され、物価の上昇とともに家計に影響を与えてきましたが、イギリスの消費税は人々の生活にどのくらい影響があるのか気になりませんか?
このページでは、何かとお金のかかる留学生活で役に立つイギリスの消費税制度について紹介していきます。消費税について知っていると節約もできますよ。
イギリス消費税の概要
では、まず初めにイギリスの消費税の概要について細かく紹介していきましょう。
イギリスの消費税とは
イギリスの消費税はVAT(value added tax)と呼ばれ、1973年に導入されました。導入された当初の課税率は10パーセントでしたが、その後度々値上げされ、2024年8月現在その課税率は20パーセントとなっています。
またVATは間接税であり、商品やサービスを購入した消費者がその税金分を支払っているものの、VATの国への直接的な支払い者はその商品やサービスを提供した売り手側にあります。
なおVATは内税方式をとっており、表示されている金額にはVATが含まれています。
そのため後ほど取り上げるのですが、イギリスでは商品により税率が変わります。総額表示だと、それぞれの商品の消費税について自分で計算する必要が無いので分かりやすくて安心ですね。
政府にとって大きな財源
イギリス政府が国家を運営していくにあたり、資金が必要となります。そしてイギリス政府にとってはVATによる収入も大切な収入源となっており、所得税、国民保険に続き、3番目に大きな収入源となっています。
人々が最低限の生活を送れるような工夫
イギリスの消費税は日本の消費税と比べて高く、また世界的にみても高い方に入ります。しかしイギリスは失業率も高く、また特にロンドンなどの都市部を歩いていると多くのホームレスを見かけることも稀ではありません。
そのため、イギリスでは人々ができるだけ人として最低限の生活を送ることができるよう、消費税に減税または免税制度を取り入れています。これらの制度については次の項目で詳しく説明していきます。
免税・減税制度
先の項目で述べた通り、イギリスの消費税は基本税率20パーセントとなっているものの、多くの商品やサービスに減税または免税制度がとられています。日本で言う、軽減税率制度を採用しています。この項目では、基本税率20パーセントが課せられるもの、減税対象、免税対象の商品やサービスについて紹介していきます。
まず、イギリスの税率は以下の3種類に分けられます。
- ①基本税率 (税率20%)※対象:ほぼ全ての商品やサービス
- ②軽減税率(税率5%)※対象:家庭用燃料、電力、チャイルドシートなど
- ③ゼロ税率(税率0%)食料品(一部を除く)、本、子供服、医薬品など
それでは、より詳しい内容を見ていきましょう。
基本税率20パーセント対象商品・サービス(20%)
基本税率の20%は生活に最低限必要ではない商品やサービスを対象としています。いわゆる嗜好品、贅沢品のことですね。
【食料品】
- アルコール飲料
- チョコレートビスケット
- チョコレート
- アイスクリーム
- ジュース
- ポテトチップス
- キャンディ類
- テイクアウト商品(ホット商品)
- レストラン・カフェ向け食料品
など
【衣料品】
- 14歳児以上の衣料品
【雑貨】
- 文房具
- CD/DVD
【サービス】
- 郵便
- ガソリン
- タクシー料金
軽減税率対象商品・サービス(5%)
軽減税率対象となる商品やサービスは以下の通りで、税率は5パーセントとなります。
なお、これまで5%の対象だった生理用品は女性の生活に最低限必要なものと認められ、2020年に免税となりました。
【雑貨】
- チャイルドシート
【サービス】
- 光熱費(個人・家族向け)
ゼロ税率対象商品・サービス(0%)
以下の商品・サービスは、人々ができるだけ人として最低限の生活を送ることができるために必要だと考えられており、消費税が課せられません。
【食料品】
- 基本的な食料品(課税20パーセント対象外商品すべて)
【雑貨】
- 本
- 切手
- 美術品、アンティーク品
- 女性用生理用品
【サービス】
- 美術館等入館料
- 教育関連
- テレビライセンス
- 医療関連(診察料、薬代など)
- 金融関連
- 商業地の購入またはリース
- ギャンブル
人々が生活に困らないような配慮
イギリスではイギリス人の生活に欠かせられないと考えられている紅茶やパンや牛乳や野菜類に消費税はかかりません。
菓子類もチョコレートやチョコレートビスケット、キャンディー類などには消費税が課せられますが、紅茶を飲む際に一緒に食べるのに必要と考えられているシンプルなビスケットには消費税がかかっていません。
また医療関連もNHS(ナショナルヘルスサービス)が運営する医療機関にかかった場合、基本的に医療費は無料ですが、プライベートの医療施設にかかった場合も税金がかからないように配慮されています。
つまりイギリスでは人々が生活に困らないように配慮の上、消費税が設定されているのです。
そのため基本的な物価は高いですが、レストランやテイクアウト、フードデリバリーは避け、出来るだけ自炊を心がけることでかなり節約できます。
タックスフリー(免税)ショッピング制度について
イギリスには、以前は観光客向けのタックスフリー(免税)ショッピング制度が存在していましたが、2021年1月1日以降、EU離脱の影響で廃止されました。
これにより、EU外の訪問者は商品購入時に付加価値税(VAT)を還付される制度を利用できなくなりました。
ただし、VATの還付を受けるための一部の免税制度は、特定の条件を満たす場合にまだ適用されることがあります。
たとえば、VAT免除の特定の商品(医療機器、慈善団体の購入品など)や、ビジネスに関連する支出に対しては、VATの還付を受ける手続きが可能です。
そのため、一般的なショッピングにおける免税制度は廃止されていますが、特定の状況においては還付を受けることができます。
詳細な情報や最新の規制については、イギリス政府の公式サイトでご確認ください。
消費税の仕組みを知り充実したイギリス留学を!
イギリスの消費税について紹介いたしました。基本税率は日本の消費税に比べて高いものの、人々が生活に困らないような配慮が多くされています。
イギリスの消費税制度を正しく理解し、より快適なイギリス生活・滞在を実現させましょう。