イギリスの大学への進学
イギリス留学の象徴でもある、オックスフォードやケンブリッジといった英語圏では最古の大学を擁するイギリスの大学は、学術研究の要素が強く、理論を重んじる傾向が強いというのが大きな特徴として挙げられます。
実務的な色彩が強いアメリカの大学とは違いますが、ある事柄の背景にある理論や根本的な考え方を導き出すことを重視した教育です。そういった理論や考え方を身に付けておくことで、実務への幅広い応用が期待できます。
イギリスの大学・大学院では、経済学・国際関係・開発学・平和学・環境学・ヨーロッパ研究といった分野に強い大学が多いです。また、芸術分野の大学も多くあり、アート・デザインや音楽などの分野で、高いレベルの理論や技術を習得できます。
イギリスの大学へ進学するには
イギリスの大学進学を目指すうえで、日本とイギリスとの教育制度の違いを理解しておくことが重要です。
教育制度の違い
イギリスの大学は、日本と教育システムが異なるため、日本から高い英語力をもってしてもある程度の専門知識が無ければ、高校を卒業してそのまま直接大学に入学するというのはかなり困難と言わざるを得ません。
イギリスの大学は通常3年間の学士課程からなっており、この3年間で専門分野のことをしっかりと学んでいきます。日本のように大学1・2年目を教養課程にあてるのではなく、1年目から専門領域の世界にどんどん入っていきます。
ですので、大学入学前にある程度の専門知識が無ければ、イギリスの大学にそのまま入学するというのは困難が伴ってしまいます。
ファウンデーションプログラム
ですが、イギリスの大学も留学生を受け入れるのには積極的ですので、こういった留学生が大学進学できる仕組みを整えています。それがファウンデーションコースです。
日本の高校を卒業した後、イギリスの大学に進学できるまでの進学希望領域の専門知識と英語力を1年間同時に高めていきます。
ファンデーションコースを修了し要求されているレベルにまで英語力を高めることができれば、晴れてイギリスの大学に進学することができます。
大学院への進学
大学院に進む場合でも、高度な専門知識が求められますし、高い英語力が要求されます。
イギリスの大学院の多くは1年で修士課程が修了できますので、この1年という短期間で講義・ディスカッションについていけるだけの英語力と高度な専門性が必要とみなされています。
高い英語力と高い専門知識があれば、日本の大学卒業後にそのままイギリス大学院に進むことは可能ですが、要求レベルの英語力に達していない場合(大学によっては条件付入学を認めているところもあります)や、日本の大学で勉強してきた専攻とイギリスの大学院で勉強したい専攻が異なる場合は、大学院のファウンデーションコースに一旦進まれることをお薦めします。
イギリス大学進学パターン
では、日本の高校を卒業してからイギリスの大学に進学するまでの道のりにどういったパターンがあるでしょうか。
① 高校卒業→大学ファウンデーションコース(1年)→大学(3年)
大学付属・公立カレッジ・私立英語学校などが大学進学向けのファウンデーションコースを用意しています。
このコースで1年間進学に向けて英語・スタディスキル・論文の書き方・専門科目の知識等を習得しながら、大学に入学願書を提出して大学進学を果たします。
ファウンデーションコース入学には、IELTSのスコア提出が求められますので、日本にいる間にIELTSのスコアを上げることが求められます。
② 高校卒業→公立カレッジ(2年)→大学(2年)
このパターンは日本からだとほとんど見られるケースではないですが、高校卒業後、公立カッレジの本科コースでHigher National DiplomaもしくはFoundation Degreeを取得します。
その資格取得により、大学の2年次に編入することができます。ただし、公立カレッジ入学に際し、IELTSのスコアの提出が求められます。
イギリスの大学に直接手続きする場合は、通常UCASという申請システムを通して行うことになりますが、留学生の場合ファウンデーションコース経由で進学する場合が多い為、ファウンデーションコースに必要となる入学手続き書類を以下に紹介しています。
イギリス大学学部出願手続き
イギリスの大学では、日本のような入学試験というものは実施せず、基本的に全て書類の申請により合否が審査されます。ファウンデーションコースも同じシステムで、書類の提出により入学の可否が審査されます。
大学や学校により必要書類の内容は異なってきますが、一般的に必要となるものを以下のリストで示しています。これらに合わせて面接を実施する場合もありますので、大学が発行するProspectus(入学案内)にはしっかり目を通してください。
大学進学向けのファウンデーションコースの手続きでは以下のポイントが重要となります。
- 入学願書の志望動機などの内容
- 英語力
- 最終学歴での成績
- できるだけ早い出願
<大学ファウンデーションコース必要書類例>
- 入学願書(Application Form)
- 最終学歴の成績証明書(英文)
- 英語力を証明するもの(IELTS、TOEFL)
- 卒業証明書(英文)
- 推薦状(英文)
- 財政能力証明書(英文)
- 申請料
- 面接(学校により異なる)
オックスフォード・ケンブリッジを目指す場合
オックスフォード大学やケンブリッジ大学といったイギリスのトップ校を目指す場合、ファウンデーションコース経由で進学できない場合がほとんどです。
オックスブリッジやインペリアル・UCL・LSEといったトップ校を目指す場合は、イギリスの高校生と同じルートでSixth Formという大学進学向けのコースを提供している学校に通い、そこでA-Levelコースを2年間受講し、最後にA-Levelテストを受けて最高レベルのグレードを叩き出さなければなりません。
イギリス大学院進学パターン
次に日本の大学を卒業した後に、社会人経験等を経てイギリスの大学院を目指すルートです。
① 大学卒業/社会人→大学院ファウンデーションコース(1年)→大学院修士課程(1年)
大学付属・私立学校などが大学院進学に向けたファウンデーションコースを開講しており、このコースで1年間、希望科目の専門知識と英語・スタディスキル・研究手法・論文の書き方等を習得していきます。
この1年間のコースを修了し、大学院の修士課程に進みます。ファウンデーションコース入学に際しては、IELTSのスコア提出が求められます。
② 大学卒業/社会人→大学院修士課程(1年)
日本の大学を卒業した後に、そのまま直接イギリスの大学院修士課程へと進むパターンです。
この場合、大学院での研究内容と日本の大学での専攻が基本的に関連あること(または大学院での研究内容に関連する経験を積んでいること)、入学前までに高い英語力(IELTS6.5-7.0)に達していることが大前提となります。
イギリス大学院出願手続き
大学院修士課程に直接入学手続きする場合は、学部での専攻と大学院での希望コースが関連しており高いアカデミックレベルを証明しなければいけません。その為、学部での学業成績が非常に重要になります。
そして、高い英語力を証明する必要もあり、大学によってはアメリカで求められるGREやGMATも要求する大学もありますので、注意してください。
大学院修士課程への入学手続きでは以下のポイントが重要になります。
- エッセーの内容
- 英語力
- 関連分野の学業成績
- できるだけ早い出願
ファウンデーションコース・大学院修士課程入学共に、入学手続きには早目の出願が一つの重要なポイントとなります。早めに出願すればするほど、それだけ競争相手も少なく、まだまだ席も埋まっていません。
従って、希望のコースに入学できる可能性が高くなります。
<大学院出願必要書類例>
- 入学願書(Application Form)
- エッセー(入学願書の一部となっている場合もあり)
- 最終学歴の成績証明書(英文)
- 英語力を証明するもの(IELTS、TOEFL)
- 卒業証明書(英文)
- 推薦状(英文、2~3通)
- 財政能力証明書(英文)
- ポートフォリオ(芸術系コースの場合)
- 申請料