イギリスのファウンデーションコース
イギリスのファンデーションコースとは、イギリスの大学に入学するための進学準備期間のことです。日本とイギリスの教育制度の違いにより、日本の高校を卒業した学生はイギリスの大学に直接進学することはできません。そのため、イギリスの大学に進学する場合、ファンデーションコースに進学する必要があります。
イギリスのファウンデーションコースについてその仕組みや学べることなど紹介していきたいと思います。
ファウンデーションコースとは?
ファンデーションコースでは通常、約1年間、英国の大学進学に必要な英語力や英語でのアカデミックスキル、そして、自分の専攻したい分野の基礎的な内容を学びます。
日本の大学で例えると、大学1年生〜2年生が学ぶような一般教養的な内容を学びます。そこで、一定の成績を修めると英国の大学に進学することができます。
つまり、ファンデーションコースとは、イギリスの大学に進学するために英語力やアカデミックスキル、専門分野の基礎を学ぶための準備期間です。
ファウンデーションコースがなぜ必要なのか?
では、なぜ、日本の高校を卒業した学生がファンデーションコースに通う必要があるかというと、日本と英国の教育制度に違いがあるからです。
イギリスの教育課程には、就学前教育(3歳~5歳)、初等教育(5歳~11歳)、中等教育(11歳~16歳)、大学進学の課程(Sixth form)や職業教育の課程(Further Education)(16歳~18歳) 、高等教育 (18歳~)があります。
まず、大学に進学する学生は、中等教育において、14歳〜16歳を対象としたGCSE(General Certificate of Secondary Education)というカリキュラムの最後に受ける試験を受験する必要があります。
その試験を終了した後、大学進学の課程(Sixth form)に進学をします。そこでは、大学入学の資格として認められる試験のA-level(Advanced Level General Certificate of Education)の授業を受けたり、大学進学を見据えて、自分の専門分野の基礎的な内容を学びます。
例えば、大学でビジネスを専攻したい場合、会計学や経営学を勉強します。そのため、イギリスの大学進学課程(Sixth form)では、日本の大学1年生や2年生で学習する内容を勉強していることと同じになります。
日本の大学では授業のカリキュラムが通常4年間です。大学1年生や2年生で一般教養的な内容を学び、大学3年生、大学4年生で自分の専門分野の勉強をすることが一般的です。
一方で、イギリスの大学は一般的に3年間で卒業をすることになります。その3年間は、一般的な教養課程を学ぶ場ではなく、自分の専攻した分野を勉強することになります。
つまり、イギリスの大学では、日本の大学の課程とは違い、いきなり専門的な内容を勉強することになります。そのため、日本の高校を卒業した学生は、イギリスの大学で学ぶ専門分野の基礎を学んだり、英語でのアカデミックなスタディスキルを学ぶ必要性がありますので、イギリスの大学に進学するためには、ファンデーションコースに進学することが必須となります。
ご注意ただし、オックスフォードやケンブリッジなどトップ校へは、イギリスの学生と同じようにSixth Formから始めてA-levelテストを経て大学へ進学する必要があります。
ファウンデーションコースのパターン
日本の高校を卒業した学生は、イギリスの大学に進学するためにファンデーションコースに通うことが不可欠です。そのファンデーションコースは、大まかに2つに分類することができます。
大学付属のファンデーションコースと私立の語学学校のファンデーションコースとに分類できます。それぞれのコースにはメリット、デメリットがあります。それぞれのメリット、デメリットを比較しながら、自分に適切なコースを選ぶことが重要になります。
大学付属
まず1つ目は、大学付属のファンデーションコースです。大学付属のファンデーションコースは、一定の成績を修めた場合、その大学への進学を保証され、また、その他の大学にも出願をすることができます。
次に、大学付属のファンデーションコースのメリットとデメリットについて紹介します。
大学付属コースのメリット
まず、メリットの1つ目としては、大学の付属の学校に通うことになりますので、同大学の学生や教授の方と親交を深めることができる可能性があります。
メリットの2つ目は、大学の図書館やカフェテリア等の施設を使用することができますので、他の学生よりも早く大学生活に順応することができます。
メリットの3つ目は、大学付属のファンデーションコースの場合、規定の成績を修めることができたら、コース修了後にその大学への進学を保証してくれます。
大学付属コースのデメリット
一方、デメリットとしては比較的、高い英語力を求められます。例えば、サセックス大学付属のファンデーションコースの場合、 IELTS for UKVI 5.0 overall (min 5.0 in writing)を求められます。
私立学校
もう1つは、私立の語学学校のファンデーションコースです。これは、規定の成績を修めた場合、その語学学校の提携している大学に進学することができます。
私立の語学学校のファンデーションコースのメリット、デメリットについて紹介します。
私立学校のメリット
まず、メリットの1つ目としては、そこに通う学生は、留学生が多いので、同じ境遇の方と出会うことができます。
メリットの2つ目は、提携している大学がいくつかあるので、イギリスに留学してから大学を選ぶことができます。
メリットの3つ目は、英語力が比較的低くても、入学することができます。例えば、CATS カレッジという語学学校では、9月入学の場合、 IELTS 4.5を取得できていれば出願することができます。
私立学校のデメリット
一方で、デメリットは、その語学学校が提携していない大学を希望する場合には、新しく出願しなければならなかったり、留学生が中心なので、イギリス人学生との交流を持つことがあまりできない可能性があります。
ファウンデーションコースへの出願方法
それでは、どのようにファンデーションコースに出願すれば良いでしょうか。
大学付属の場合
まずは、イギリスの大学付属のファンデーションコースの場合は、その大学に直接出願するかもしくは、イギリスの大学に入学する際の窓口となっているオンラインでの総合出願機関であるUCAS(Universities and Colleges Admissions Service)から出願をします。
そして、必要な書類は6つあります。
- (1)英文の高校卒業証明書
- (2)英文の高校成績証明書
- (3)高校の先生からの英文の推薦状
- (4)英文の志望動機書
- (5)パスポートのコピー
- (6)IELTSの 4.5以上のスコア
以上の書類が必要となります。
それらをアップロードして、出願料を支払うことで出願を完了することができます。
私立学校の場合
私立学校の場合は、以下の書類が基本的に必要になります。
- (1)英文の高校卒業証明書
- (2)英文の高校成績証明書
- (3)志望動機
- (4)パスポートコピー
- (5)IELTSのスコア
私立学校の場合は、IELTSのスコアによって開始時期を選べたりもします。通常は9月から開始しますが、IELTSのスコアが低い場合には7月頃から。IELTSのスコアが高い場合には、1月から開始できる学校もあります。
ただ、大学付属・私立学校のファンデーションコース共に期間は9月から翌年の6月までの約9ヶ月間が基本となります。
学費はファンデーションコースによってばらつきがありますが、約1年で約£8,000〜18,000(128万〜288万円)くらいです(£1=160円の場合)。IELTSの英語のスコアが高くて1月から始まるコースの場合は、期間が短くなりますのでその分学費が安くなります。
ファウンデーションコースの学習内容
では、実際にファンデーションコースに入学したらどのようなことを勉強するのでしょうか。
ファンデーションコースでは、主に基礎的な英語の学習、アカデミックな英語力の向上、日本の大学1年生〜2年生が学ぶような一般教養や自分の専攻したい分野の勉強が中心です。
一般的にコースが始まってからは、英語の基礎を固めるためにアカデミックな英単語、文法や発音を学び、将来の正規留学についていけるだけの英語力を習得します。
イギリスの大学では、大量の文献を読み、大量のレポートを書いたり、プレゼンテーション、ディスカッションを授業で行います。そのため、それに対処できるように参考文献の探し方、参考文献の書き方、リサーチ方法などの知識やアカデミックエッセイの書き方、プレゼンテーションの方法などのスタディスキルを学びます。
また、イギリスの大学では専門課程を学びますので、ファンデーションコースで自分の専攻したい分野の授業を選択します。
例えば、ビジネスの分野を大学で学びたいと希望する場合は、経済、ビジネス、数学などの科目を選択します。人文社会系の分野の場合は地理、政治、歴史、法律などの科目を選択します。自然科学系を専攻する場合、数学、応用数学、物理などを選択します。
自分の選択分野が決まっていない場合は、先生に相談してどのような科目を履修すれば良いかなどのアドバイスをしてくれます。
以上みてきたように、イギリスのファンデーションコースでは、約1年間で英国の大学の正規留学に必要な英語力、アカデミックなスキル、そして、専門分野の基礎知識を学び、向上させイギリスの大学に進学して卒業できるような力を養うための準備期間としてとらえておくとよいでしょう。