イギリスの大学の制度と仕組み
イギリスの大学の仕組みや制度は、日本やアメリカとは異なります。イギリスの大学進学を目指していく場合、イギリスの大学の制度や仕組みについて予め理解しておくことが大切です。
イギリスの学士号の序列
イギリスの大学は一般的にフルタイムで3学期、3年(スコットランドでは4年)の学士課程を履修し、試験に合格したら、バチェラー学位(Bachelor’s Degree)が授与されます(日本でいう学士号です)。
バチェラー学位は、普通学位(Pass Degree, Ordinary Degree)または、優等学位(Honours degrees)の2種類があります。大半の学生は、優等学位を目指すのが一般的で、優等学位には、試験の総合的な評価によって、第1級学位(First Class Honours)、第2級の上の学位(Upper Second Class Honours)、第2級の下の学位(Lower Second Class Honours)、第3級学位(Third Class Honours)が授与されます。
大学での履修方法
学位を授与されるかの可否、そして学位の分類は、定められた課程やコースを履修して、最終学年末に実施される各コースの最終筆記試験によって決定することが従来の学位授与のやり方でした。
しかし、こういった定められたコースを履修して学位を取るカリキュラムに対して、近年、大学教育の大衆化や学生の多様化を背景に、学生が自分の興味や関心によって科目やコースを選択して単位を取っていくことで学位を取得できるモデュラー制度も普及してきました。
これによって、専攻を途中で変更することや複数の専攻で学位を取得できるようになってきています。
専攻科目の授業スタイル
イギリスの大学の授業では、他国の大学のカリキュラムと比較すると必修科目が非常に多く、学年ごとに選択できる授業がほとんど決まっています。
必修科目と選択科目ともに、授業形態は文系の場合、レクチャー(講義)、セミナー(少人数でのディスカッション)、チュートリアル(より少人数でのディスカッション)が中心となっています。
さらに、理系ではそれらに加えて実習や実験もこなしていかなければなりません。
どの授業でもイギリスの大学は少人数で授業を実施しているため、先生と学生の距離が近く、先生は学生ひとりひとりの学力を把握し、サポートすることができるのも特徴的です。
評定方法
では、イギリスの大学で学位を取得するためには、何をしなければいけないかというと、それは、大学の必修科目と選択科目で規定の成績を修めなければなりません。
従来の学位授与のやり方をとっている大学の場合、履修期間中の継続的な評価や中間試験等といった評価方法もありますが、一般的には大学最終年度末の最終試験で成績が決まります。
一方で、モデュラー制度を採用している大学に関しては、中間試験や学期終了後に行うエッセイやプレゼンテーションによって決まることが多いです。
そして、アメリカや日本とは異なり、授業での出席率や授業での発言は成績に含まれないことが一般的です。
卒業年度の学生に関しては、これまで選択した科目と卒業論文の総合点の平均が70%の学生は第1級学位、60~69%の学生には第2級の上の学位、50~59%の学生には第2級の下の学位、40~49%の学生には第3級学位が授与されるようになります。
学位取得での重要点
イギリスでは、学部生にとってどの大学を卒業したかより、どの級の学位を取得できたかが重要で大学卒業後の進路に影響を及ぼします。そのため、イギリスの大学では、上位の学士号を取得するために、学期中は一生懸命勉学に励むことが求められ、多くの学生が昼夜を惜しんで勉強に励んでいます。