バンクーバーで留学の本当の価値を知れた2ヶ月間
カナダ・バンクーバーの語学学校で語学留学とホームステイを経験された大槻めぐみさん(女性)の体験談のご紹介です。大学生の時の春休み2ヵ月を利用して留学されましたが、得るものは大きかったようです。
2014年2月からカナダのバンクーバーに短期留学をした、私の体験をお話しします。現在28歳の女性です。留学した当時は、大学2年生の20歳でした。春休みの2ヶ月間を利用して、ホームステイをしながら語学学校に通いました。
治安のよい留学先として選んだバンクーバー
はじめに、カナダのバンクーバーを留学先として選んだ理由をお話します。
私は日本の大学で英語学部を専攻しており、在学中に留学をしたいと思っていました。色々な国の情報を集めて悩んだ結果、バンクーバーが私の条件と合致しました。
まず費用の面です。カナダは、アメリカやイギリスと比べてリーズナブルな点が魅力的でした。
学費やホームステイ代などは親が出してくれたとはいえ、少しでも費用を抑えたいと思っていました。現地で使うお金は自分の貯金から出していましたが、物価もそこまで高くなく学生の私には助かりました。
次に、どうしても治安の良い場所に行きたいという思いがありました。今では1人で海外旅行ができるくらいには旅慣れていますが、当時はほとんど海外に行ったことがありませんでした。
バンクーバーは、世界で最も住みやすい都市ランキングで常に上位にランクインしています。それほど世界的に見ても治安が良いとされており、初めて海外生活をする国として安心感がありました。
日本人は私のように、治安の良い留学先を求めてカナダのバンクーバーを選ぶ人が多いです。日本人が多い場所はなるべく避けたかったのですが、治安が良い=日本人が多い、というのは他の都市にも共通することなので、ここは妥協しました。
さらに大学で授業を教えてもらっていた、ネイティブの先生にカナダ人が多かったことにも影響を受けています。これは主観なのですが、カナダ英語はクリアで聞き取りやすいと思います。一般的にはイギリス英語がかっこいいと言われていますが、私にとってはカナダのアクセントが一番好みだったのも理由のひとつです。
ただ実際に行ってみると、バンクーバーは移民が多いということがわかりました。そのため発音に関しても多様性が認められており、アクセントは人によって結構違いました。
現地に行ってからわかった魅力としては、都心と自然のバランスが良い点です。 海にも山にも都心にも出かけるのが大好きな私の性格に合っていたと思います。
語学学校では、週末や放課後に参加できるアクティビティーがたくさん用意されていました。アイスホッケーの試合観戦や、シアトルへのショッピング、ウィスラー日帰りトリップなど、いろんな楽しみ方ができる都市だと思います。
日本人が多いのも悪い事ばかりではないです
先ほども話しましたが、バンクーバーは日本人の留学先として1番人気がある都市です。
入学して最初のクラスは、半数が日本人でした。街中のカフェから日本語が聞こえてくることも日常茶飯事です。留学に来ているのに、日本人が多すぎて日本語を避けなくてはならない、ということにはじめはストレスを感じていました。
ところがある日、日本人だけが20人ほど集まる食事会に参加することになりました。日本人とつるむのは悪だと思い込んでいましたが、その時に考え方が変わりました。
それまでの私は、自分自身に言い訳をしていました。他の国から来ている生徒は、国から留学のための奨学金が全額出るという人や、高校を飛び級で卒業したという人など、私とはあまりにも住む世界が違いました。バックグラウンドが違うから、他の国の子が私より出来ていても当然だ、と思いたかったのです。
しかし、その時に出会った日本人は意識の高い人ばかりでした。同じ時代の日本に生まれているのに、明確な目標を掲げている姿に刺激を受け、このままではいけないと鼓舞されました。
そこからは放課後に勉強するグループを作ったり、苦手を克服しようとプレゼンの授業を取ったり、受身ではなく能動的に動けるようになりました。その結果、帰国後のTOEICスコアは200点上がっていました。
確かに、日本語を避けるという点では苦労しました。ですが、日本人との接触がすべて悪いことではなく、結果的には良い影響を受けることができました。
カナダの人々の温かさに触れることもできた
カナダの治安の良さを実感したエピソードがあります。
私はあろうことか、バンクーバーに着いた翌日にパスポートを無くしてしまいました。
その日は日曜日で、翌日から学校が始まる予定でした。私がホームステイしていたお宅は、他にも留学生を受け入れており、私と同じ日にフェルナンダというブラジル人の女の子が到着しました。
私はフェルナンダと2人で、学校の場所を確認するためにダウンタウンに出かけました。その道中、どこかでパスポートを落としてしまったのです。
それに気付いたのは帰宅してからでした。どこを探しても見当たらず、恥ずかしながらホストマザーにも荷物を全てチェックしてもらいました。それでも見つからず、数日間はショックとストレスでかなり落ち込みました。
それから数日後のある日、両親から『パスポートが見つかった』という旨のメールが届きました。
なぜカナダで無くしたパスポートについて、日本にいる両親から連絡が来るのか不思議でしたが、『とにかくバンクーバーの日本領事館にパスポートを受け取りに行って』と伝えられました。翌日に領事館に行き、そこでこれまでの経緯を聞きました。
まず私が落としたパスポートはレストランで拾われ、そこのオーナーが親切にも日本領事館に届けてくれたそうです。そしてパスポートに書いてあった緊急連絡先を見て、領事館の方が日本の両親に電話してくれた、という流れでした。
レストランの場所を調べると、両替するために立ち寄ったことを思い出しました。食事もしていないのに、送料を負担してまで日本領事館に送ってくれたオーナーにお礼を言うべく、次の日にレストランを訪ねました。
拙い英語で名乗ると、オーナーは歓迎してくれました。夕方の営業時間外だったと思うのですが、『お腹すいてる?時間はある?』と料理をご馳走してくれました。それから帰国までに数回伺いましたが、毎回デザートをサービスしてくれたり、ギフトをくれたり、とても親切にしてくれました。
フェルナンダにパスポートが見つかったことを報告すると、『ブラジルでは絶対返ってこないよ』と言われました。それを聞いて、心底カナダを選んで良かったと思いました。またバンクーバーには、領事館があったことも不幸中の幸いでした。
カナダの温かい人々のおかげで、今では笑い話にできていることにとても感謝しています。
バンクーバーの留学で自分に自信がついた
留学で得たものとして実感するのは、自分に自信がついたことです。
たった2ヶ月ですが、バンクーバーで過ごした時間は人生で一番濃いものでした。
パスポートの紛失から始まり、クラスでも言いたいことが思うように言えず、みんなの前でプレゼンをしなければならない時は憂鬱でした。思い出してみると楽しいことばかりでなく、辛いこともかなり多かったです。
しかし最後にはこの苦境を乗り越え、やりきれたことが大きな自信に繋がりました。留学を経験したことで、その後の人生でも臆することなく色々なことに挑戦できていると思います。
留学には語学以上の価値がある
短期留学では英語がペラペラになるわけではありません。
ですが、人との出会いや、現地での経験には語学以上の価値があります。
昨今の状況で留学を諦めたり、年齢的に気後れしてしまったりする方も多いと思います。
決断するのは勇気がいるかもしれませんが、留学に遅すぎるということはないです。その時しかできない経験が絶対にあります。
現地に行ってしまえば、もう流れに身を任せるのみです。今振り返ってみると、辛いことを辛いと感じる暇もありませんでした。目の前のことを頑張るのに必死で、気付いたら突っ走っていました。
もしチャンスがあるならぜひ挑戦してみて下さい。かけがえのない経験ができます。そして日本に帰ってきてからもその経験は大きな糧になるはずです。応援しています!