ロシアのウクライナ侵攻による欧州航空便への影響
ロシアがウクライナへ侵攻したことにより、欧米諸国が経済制裁に動いています。その一環としてロシアの航空機の欧米への空域飛行禁止を打ち出し、ロシアも動揺に欧米航空会社へのロシア上空の飛行禁止を打ち出しました。
日系航空会社は対象にはなっていませんが、JALやANAも含めこの影響を受けています。
飛行禁止の経緯
ロシアがウクライナに2月24日に侵攻したことにより、欧米各国がロシアに対して経済制裁を打ち出しました。
そして欧米各国は自国の上空をロシアの飛行機が航行することを禁止するようになりました。それを受けてロシアも欧米各国の航空会社のロシア上空の航行禁止を打ち出しています。
日本はロシアに対しで日本の領域をロシア機が航行することへの禁止措置は出していませんが、JALやANAも欧米航空会社に追随するように欧州便のロシア上空飛行を回避しています。
欧州とアジアを結ぶ飛行経路の最短距離はロシア上空を航行するルートです。それにより冷戦期にルートとして使用していた北極ルートに比べ大幅に飛行時間も短くて済むようになっています。
このことにより、欧州航空会社の一部やJALやANAはヨーロッパの一部の便を欠航にするなどして今後の対応を検討しています。
当面の対応
ヨーロッパの航空会社やJALやANAは当面の対応として、ルート変更することで日本をはじめアジアとの直行便を運行することにしています。
まだ詳細を決めかねている航空会社もありますが、エールフランスやフィンエアーは当面中央アジアを経由する南回りのルートで運行することにしています。
またANAはヨーロッパの航空会社と同じくブリュッセル便を南回りルート、JALは冷戦期に運行していた実績もあってロンドン便を北極を通る北回りルートで運行するしています。
ただ目的地にもよるので、今後ANAが全ての便を南回りにするか、JALも他のヨーロッパの目的地を北回りにするのかは分かりません。
いずれにせよ、ヨーロッパの航空会社もJALもANAもヨーロッパへの直行便は大幅に所要時間を要するようになったと言わざるを得ません。
これから候補になるエアライン
このような背景もあって、直行便は飛行時間が15時間~16時間もかかるようになります。
航空運賃との兼ね合いにもなるので、時間が延びても問題ないという方もいれば、狭い機内で15時間~16時間も我慢できないという方も出てくる可能性もあります。
それでは経由便を選んで、一回経由地で一休みをしてヨーロッパに向かうという事も選択肢として大いに考えられるのではないでしょうか。
もちろん、日本語があまり通じそうもない、経由地からヨーロッパの目的に向かう便で日本人のCAさんがいないといったデメリットはありますが、長時間狭い機内で窮屈な感じを味わい続けるよりは、一旦経由地でリラックスするのも一考だと思います。
特に留学目的で行かれる場合は、英語を使う良い機会と考えて外資系エアラインで経由便を使うという事も試してみるのもよいでしょう。
どういったエアラインがヨーロッパへの便として使えそうか、アライアンス別に考えてみました。
ワンワールド(JAL系)
まずは、JALが加盟しているワンワールド系航空会社です。JALのマイルを貯めている方やJALのFly on Pointを稼ぎたい方には以下のエアラインを利用してヨーロッパに行くことも検討されてみてはいかがでしょうか。
■ カタール航空
通常は成田と羽田から出ていますが、コロナの影響もあり現在では成田便のみ運行しています。
カタールのドーハで乗り換えて、ロンドン・パリ・ベルリン・マドリード・ダブリンなど欧州各地へ向かう事ができます。
■ キャセイパシフィック航空
香港で乗り継ぐパターンです。香港はゼロコロナ政策のため、香港発着の便が今後運行停止になる可能性もありますが、中国はロシアに対して制裁を課していないという事もありロシア上空を航行することができています。
ヨーロッパの就航地はカタール航空程多くはありませんが、メジャーな都市であるロンドン・パリ・フランクフルトへ直行便を飛ばしています。
■ エミレーツ航空
ワンワールドに加盟はしていませんが、JALのマイルは貯まります。Fly on Pointは付きません。経由地はドバイです。
カタール航空と同様、ヨーロッパ各地に就航していますのでヨーロッパの多くの都市に乗り継いで向かう事ができます。
■ その他
その他、マレーシア航空もありますが、日本への便が出ているのかヨーロッパへの便が出ているのか等不明な点もありますので、ご希望の場合は確認してみてください。
スターアライアンス(ANA系)
スターアライアンスはANAが加盟している世界最大の航空ネットワークグループです。多くのエアラインがありますので選択肢も多いです。
ANAのマイルはもちろんもらえますし、Premium Pointも加算されます。
■ ターキッシュエアラインズ
トルコのイスタンブールを経由する形になります。羽田からも就航していますので便利です。
イスタンブールから欧州各地へ向かう便が多いので、ドイツ・フランス・イギリス・スペイン・マルタなど主要な留学先にもアクセスすることができます。
■ シンガポール航空
コロナの期間も、成田・羽田・関空・中部・福岡からシンガポールへの便が出ていますので利便性の高い航空会社と言えます。
シンガポールで乗り継いで、ロンドン・パリ・フランクフルトなどヨーロッパの主要都市への直行便が出ています。
■ その他
その他にも、タイ航空・中国国際航空・エアインディア・エバー航空などヨーロッパへの便を出している航空会社はありますが、コロナで日本発着が欠航となっているのか等々不明点もありますのでご希望の場合は確認してみてください。
上記以外
ワンワールド・スターアライアンスいづれにも属していない航空会社であれば、ソウル経由の大韓航空、ベトナム経由のベトナム航空などのスカイチーム系航空会社も考えられますが、ソウル経由の場合はロシア上空が航行できるのか、ヨーロッパへの便を就航しているのか等々不明な点もありますので、ご確認の上チェックしてみてください。
経由便の注意点
経由便を利用する場合はコロナの影響もあり、以下の点を注意しながら実際に利用できるのかどうかを確かめたうえで利用する必要があります。
- そもそも日本から経由しても問題ないか
- 経由できる場合の条件:陰性証明・ワクチン接種証明・隔離の有無など
上記がクリアになれば、経由地で一旦小休止して身体を休めてヨーロッパに向かうという選択肢を考えてみても良いかもしれません。